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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
流氷の微睡み2
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た学園側の慢心が生み出した悲劇――』
『現場教師、テロリストを取り逃がした素質と判断の是非は――』
『テロリスト逃走後に追跡に失敗した皇国軍の動きに問題は――』
『危険な外国人を国内に侵入させた入国管理局の実態――』
『聖観学園理事長、午後0時より会見。彼女はどんな言い訳を――』

 責任をひたすらに擦り付け合う大人たちの言葉が、そこにはつらつらと並んでいた。
 悲しい気分になって、エデンは見るのをやめた。

 現場で本当に起きていたことを何一つ知らずに画面の向こうから知ったような口を聞く外野たち。現場にいたエデンには致命的に受け入れられない、実情と乖離した情報が外へと発信されてゆく。それはまさに、美音が罵った『汚い大人』を連想させた。

 エデンは大人をそんなにも頼れない存在だとは思えない。愛する両親、近所の人。兄の浄助だってもう成人だ。先生は遅れつつも一番危ないときに助けに来てくれたし、永海は民間警備会社の大人たちに助けてもらったと聞いている。

 それでも、大人は頼れないと断言する美音を否定する勇気が出なかった。
 美音が怖いのか、美音の過去を知るのが怖いのか、或いは彼女たちと衝突し、取り返しのつかない仲たがいをしてしまうのを恐れているのか。自分でも取り払えないもやもやを抱えながら、エデンはエイジと共に出来る限り急いで面会指定場所へと向かった。

 到着時間は8時52分。エイジの計算した時間と比較すると4分短縮可能らしい、と言うのは余談だろう。

 部屋の中に入ると、仕事着である軍服を着たままの両親、笑重花と殿十郎が弾かれたように席から立ち上がって二人に駆け寄る。その表情は心なしか、テレビ電話で数日前に会話した時よりやつれて見えた。

「エイジ、エデン!怪我はない!?怖かったよね……ごめんね、こんなに遅くなって!!」
「ああ、本当によく無事で……テロリストと二人が交戦したと聞いた時は、もう世界が終るかと思ったよ……!!」

 怪我がないか確認し終えた笑重花がきつくエイジとエデンを抱擁する。その後ろから殿十郎も二人を抱きしめる。二人は震え、泣いていた。エデンはそんな二人の震えと温かさを感じ、自分も昨日からマヒしていた神経がほつれ、感情の波を抑えられなくなっていくのを感じた。

「ふ、ええ……ぅええ……!!」
「寒いの、みんな……?でも、こんなに温かいのに……」
「そうよ、温かい!この温かさを亡くさないでよかったと思うから、だから泣いてるのよ……!!」
 
 こうして、エデンは久方ぶりに泣きながら家族のぬくもりを求めて暫く抱きしめ返し続けた。
 それから数分が経過し、落ち着きを取り戻した家族は両親と子供たちに別れて、子供たちは昨日にあったことを話した。BIS伝票を渡されたこと、その日のうちに襲撃が
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