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魔王の友を持つ魔王
§6 アテナ編あとしまつ
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おかしくない? 黎斗の頭を無数の疑問が駆け巡る。

「あ、おかえりなさーい」

「うむ。誰か知らぬが邪魔しておるぞ。……お主も隅に置けないのう」

 ニヤニヤ、という擬音がもっともふさわしいであろう表情でアテナが脇を小突く。嫁か何かだと思われているのだろう、きっと。この場での反論は不利だと黎斗はすばやく話題転換を図る。

「おかえりぃ。今アテナ様とお茶会だよ。抹茶とココア、どっちがいい?」

 アテナ様、ときちんと様付けにする。無駄な努力のような気もするのだがするにこしたことはないだろう。

「んー、抹茶でお願いしていい?着替えたらそっちいくね」

 返事だけよこしてアッサリ部屋の奥へ引っ込んだ恵那。1分もしないうちに着替えを終えて居間に舞い戻ってきた。上機嫌で黎斗とエルの間、アテナの向かいに座りニコニコとしている。

「れーとさんおじいちゃまの他にアテナ様ともお友達なんだ。普通の人とは思えない交友関係だよねぇ」

「スサノオはともかくアテナ様は微妙に違うんだけどな・・・」

 須佐之男命は友人だがアテナはまだ友人候補だろう。さっきまで戦いの予定を話していたのだから。黎斗は戦闘狂(バトルジャンキー)ではないし、戦う人=友達なんて図式も無い。

「ほぅ…… そなたが……」

 今の僅かなやりとりだけで、恵那の立場と黎斗がカンピオーネであることを彼女に隠していることを察したらしいアテナは余計な発言を控えたらしい。意味深な笑みを浮かべながら抹茶を再びおかわりする。

「あ、抹茶ありがと。れーとさんだけココアなんだね。みんな抹茶なのに」

「まさか抹茶をみんなして飲むとは思わなかったんですー」

 玲瓏な声音で笑う恵那にしかえしの意味も込めて表面張力ギリギリまで抹茶を注いでやる。

「あ、あー、こぼれるよー」

「マスター、精神年齢低すぎですよ……」

 悲しい人を見るようなエルの目がとても痛い。すごく痛い。まあこれは自業自得なのだが。隣で恵那がこぼさないように必死で飲んでいる光景とアテナがクックッと笑う様子が見える。

「くっくっくっ。まさかこんなに幼稚な人間だったとはな」

「精神年齢は肉体に引きづられるんですー」

「また屁理屈を……」

「まて黎斗よ、その論理でいったら妾はどうなる?」

 事情を知らない恵那が居ることでわざわざ黎斗、と呼び方を変えてくれたアテナの反論に、黎斗は何もいえない。ここには彼よりも長生きで外見は幼い癖に精神は成熟している存在が居ることをすっかり忘れていた黎斗は押し黙る。

「れーとさんの負けだね」

 こぼさずに飲みきった恵那の自慢げな表情が、ただただ恨めしかった。今度は熱湯をそそいでやろう。そう心に誓う黎斗、(外見年齢は)17歳
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