§6 アテナ編あとしまつ
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はないが、加速時間の倍率を全盛期まで戻せれば、スーリヤの1日左目使用不可という代償も加速時間内で約半日以上消化できる。次の日の朝には復活だ。
だが、それまでは日常生活を片目ですごさねばならない。周囲に露見したらおしまいだ。それを防ぐため黎斗1日引き篭もっていられる休日を訓練に当てている。恵那は休日も色々忙しいらしく日中滅多に家に居ない。だから、休日。
もし、今まつろわぬ神が出現しても弱りきっている黎斗では敵わない。そこは護堂にお任せだ。エルは呆れていたがしょうがない。今のままの碌に権能を使えない状態では連戦になったら詰む。それがエルとの共通認識だった。
「ふぃー、風呂あがっ……!?」
その後は言葉にならずに絶句する。視線の先には、お茶を仲良く飲むアテナとエル。
……なんだこれは。
「む、意外と早風呂だな、古き王よ。これが烏の行水というやつか?」
「アテナ様どこでそんな言葉を覚えられたのですか?」
「いやいやキミ達……」
事情についていけない黎斗。アテナは何故この場所がわかったのだろう?
「古き王よ、御身も相当鈍っておるな。そこまで気配を隠していないのに妾の存在を察知できないとは」
彼女の言葉に息を呑む黎斗。これが好戦的な神だったら終わりだ。まだ全快でないであろうアテナであったことに感謝するべきか。
「……ふむ、すぐさま戦闘とならんところは相変わらずよのう。傷ついている今の妾なら鈍っているあなたでも楽勝だろうに」
はう、と気の抜けたように息を漏らしながらお茶を飲む様子を見ていると、なんだか気を張っている自分が馬鹿のように思えてくる。
「んなことせんわ。で、なんでここがわかった?」
ココアを飲みながらアテナへ尋ねる。智慧の女神は智慧を司るのであって、直感や予知を司る訳ではないだろう。日本に無数にある建造物の中から、数日のうちにここを見つけ出す術が勘以外に存在するならば、それは脅威以外の何者でもない。
「簡単なこと。古き王、あなたはたしか、気配を打ち消す力を常に纏っておる。ならば妾の呪力を誰にも気づかれぬようこの地域に薄く撒けばどうなるか? あなたがいる所だけが、妾の呪力が消滅しているように見えるのだよ。あとはその痕跡をたどるだけ」
「流浪の守護は気配を遮断する。展開領域は僕及び僕に触れている物。だから、足元に存在するアテナの呪力も踏んでる間は外界から遮断してしまっていたワケね……」
なんという出鱈目な方法だ。呪力の無駄遣い以外の何者でもない。しかし、黎斗を発見するにはうってつけの方法であることも事実。流石は智慧の女神というべきか。完敗である。
「さて、種明かしもしたところで本題だ。あなたはあの日、妾に邪眼を放ったな?」
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