165部分:百六十五.吾妻の人の
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百六十五.吾妻の人の
百六十五.吾妻の人の
東国の人が都の人達の中に入ってそのうえでその中にまみれてみたりそれとは逆に都の人が東国までわざわざ行ってそこで身を立てたり所属しているその寺や本山を色々な理由があって飛び出した比叡山や高野山の僧侶が自分自身の領域ではない世界で俗世にまみれて生きているのはみっともないだけであります。
ですが挙げた事例が多いことからもわかるようにこうした話は存外多いものであります。一つ一つどれを取っても見ていてあまり気分のいいものではありませんがそれが幾つもあります。枚挙に暇がありません。こうしたものを見ていますとどうにも苦しいものがあります。見ているだけで、です。それで何かを言いたくもなるのですが言うのもこれまた無粋なものであります。仕方なく見ているだけであります。しかし見ているとこれまた実にはがゆいものがあります。見ているだけでもこうした気持ちになりますが当人は気付くことがありません。当人と申しましたが正確には当人達です。そうした人が多いからです。一人だけそういう人がいても見ていられないものなのに多くいます。これが実に嘆かわしいことであります。恥は気付かないことがまず第一の恥であります。そうした話でもありますが気付かない人はどうしても気付かないものです。その場所で身を立てるべきなのです。お門違いの場所でそれをするものではありません。これは実に無粋なことであります。嘆いてもみっともないと感じてもその人はわからないのがこれまた、です。
吾妻の人の 完
2009・10・26
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