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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
吹雪く水月4
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に馬鹿だ。全然勘違いしまくっている。
 勘違いし過ぎだ。考えるところもそこじゃない。信じたこっちも馬鹿だった。

「ほんと、エイジはそれしかないよね」
「ご、ごめん……?」

 いつもの十倍は呆れ、脱力した。
 いつもの十倍、どうしようもない家族だと思った。
 ただ、ほんの少しだけ。

「男の子だね、エイジ」

 ほんの少しだけ、頼もしいと思った。
 震えは止まっていた。

(……この天然おとぼけカップル、絶対こっちのこと忘れてるよ美杏)
(……というより、エデンちゃん絶対あっちの二人に気付いてないよ美音)

 ぱちぱちぱちぱち、と場違いな拍手の音が響く。
 音の先には、先ほどと変わらぬ態度のテロリスト、ルーデリアとナンダがいた。

「ん〜、青春!青春っていいわ〜!これぞ巡り合う星と星、運命のロマンス!」
「この非常時に傷の舐め合いでもしてるのかしら?滑稽ね」
「……あー、お嬢は少々空気が読めなくてまだ春が来ない身なので多少の空気ぶち壊しは許してやってくれ」
「ちょっと!?なんで私が間違っているような話の流れなのよ!?」

 エイジの言う通りだったのか、二人は既に視界に収まるほど近くに来ていた。ただ、こちらの会話を寸劇でも見る気分で見物してくれていたようだ。その隙が余裕からなのかは分からないけれど、案外二人は根っからの悪人ではないのかもしれない。それでも襲撃者としての立場を止めないのであれば、こちらも戦わなければいけない。

 冷静になろう。そして、冷静にエイジの戦いを見定めよう。
 今のままではエデンはせっかくエイジが頑張っているのに後ろでケチをつける邪魔者だ。
 もっとパートナーを、もっと家族を信じて――エデンは覚悟する。

「エイジ!……無理したら駄目よ。エイジが無理すると、私も寒いんだから」
「そうなの?……うん、わかった」

 戦いは、佳境へと。
 
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