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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
吹雪く水月
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て通販システム使えるから、意外と来なくても困らないんだよな」
「必要なものは天掛家(じっか)から取り寄せるものばかりですし、この町はどうも合いませぬ」

 エデンとしては、それでも知り合いに誘われて一度遊びにいくぐらいはするのでは、と思ったが、そういえば二人は放課後にちょっと遊ぼうみたいな誘いは常に断っている。これについては朧の巫女としての習慣に天馬が付き合っているということらしい。
 六天宮の巫女ともなると、確かに都会都会した空間は馴染みづらいものがあるのかもしれない。昔、六天宮の一つである天輝(あまてり)天宮にお正月の初参りに行ったことがあるが、敷地内の雰囲気や空気が外と別物だったのをよく覚えている。上手くは言えないが、浮世離れとはああいうことなのかもしれない。

「美杏と美音はよく来るよー?服とかアクセサリとかお化粧とか、流行りの物も一通り網羅したラインナップだからね〜」
「お化粧はしすぎるとルーシャ先生に強制的に落とさせられるけどねー。ま、美杏たちくらいになるとすっぴんでもプリティだけど!」
「わたくしは凪原さんと同じく取り寄せますが……あざねは確か足を運んでいたわよね?」
「パソコン越しでは商品の目利きが困難ですので、購入する品はこの目で品定めしております」

 永海と悟は聞くまでもない。アウトドアの永海とインドアの悟、それが全てだろう。

「さて、お喋りもいいがまずは授業だ。全員よく聞くように」

 ぱんぱんと手を鳴らして注目を促したリック先生は、改めて今日の授業内容を発表する。

「今日の授業内容は、魔鉄器射出システム、通称『BIS』についてだ」

 BIS。あまり聞きなれない言葉だ。今回も勉強できない組は首を傾げているが、分かってるメンツは分かってるようだった。

「俺たち製鉄師は、こと実戦に出るプロになると契約魔鉄器も大型化したり攻撃的な形状になったり、日常生活に持ち歩ける品ではなくなる場合がある。アタッシュケースに入れて運べるならまだしも、俺のなんぞ棺桶並みのサイズだぞ」
「そんなゴツイの持った人が町中をうろうろしたら嫌だよね?物理的にも邪魔だし怖いし」
「あれ、そういや今日は先生あの鈍器持ってねーのな」

 永海が今更気付いたように先生たちを見る。普段は授業にも持ち込んでいる例のアレは、確かに持ち歩いてたらカチコミでもあるのかとか、そもそも何だアレとかで周囲の人は気が気ではないだろう。

「そう、今日は持ってない。しかし緊急時、製鉄師はその多くが万全の力を発揮できる契約魔鉄器を必要とする。天災、反社会勢力、侵略者、色々だ。それが起きる可能性を考慮して常に持ち歩くなんてのは面倒だし、かといっていざというときに持っていないと困る。そこで日本が開発したのがBISだ」
「そのBISを使うと
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