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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
滴る氷柱4
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フォージブラッド)!接近戦用に冷気を束ねた!?」
「お嬢様!お引きをッ!!」

 あざねが叫ぶが、既に遅い。八千夜がエイジを倒す為には近づくのは必須だ。
 逆を言えば、八千夜から勝手にエイジの間合いに入ってくれる。

「――ッ!」

 エイジが拒止の風剣(レフュース・エッジ)を振り抜く。
 瞬間、その刀身から圧縮された寒波が爆発的な風速で吹き荒れた。

 目の前のすべてが純白に染まるほどの膨大な冷気が周囲を撫ぜ、思わず反射的に顔を覆ったエデンは、恐る恐る目を開けて勝敗を確かめる。

「ど、どうなったの……?」

 振るわれたのは一瞬。範囲も30m程度と、見た目の派手さの割には狭い。
 しかしその30mの射線以内において、その効果は余りにも絶大だった。

「八千夜さん、まだ動ける?」
「……いえ、今回は素直に認めましょう。エイジさん、貴方の勝ちです」

 寒波の晴れた先、そこには目の前まで接近した八千夜に爪を突き付けられるエイジと、そのエイジに今一歩届かない場所で全身を氷に拘束された八千夜の姿があった。拘束というよりほぼ氷に埋まっているような形で両手足、更に尻尾を氷に閉じ込めている。

「そこまで!」

 リック先生の声と共にエイジは拒止の風剣(レフュース・エッジ)を霧散させ、氷を操って八千夜の拘束を解く。リック先生は笑顔で近づき、勝負の結果を告げた。

「氷室の反則負けだバカモン」

 ごちん、とエイジの頭に拳骨が炸裂した。エイジは涙目になった。

「有詠唱まだ教えてないから使うなって言ったのを無視したな?俺は、危ないからまだ使えたとしても人に向けて使うなって指導者としてきっちり言ったよな?今回は加減してるのが分かったから敢えて手は出さなかったが、コントロールを間違っていると判断したら試合に割り込んでお前を魔鉄器でぶちのめしてる所だぞ?」
「でも、もう有詠唱しかエデンを守る方法が思いつきませんでした」
「これは訓練だ。訓練の場では怪我人も死人も俺が出させない。ハァ……まったく反省してない面しやがって、試合に負けて勝負に勝ったってか?おら、なんか言え」
「頭が……痛い」
「痛いのはお前に裏切られた俺の心だ」

 このあと滅茶苦茶反省文を書かされたエイジであった。
 なお、その反省文内でひどく語彙力の低い言葉で「エデンを守る」という情熱的なまでの意志を書き連ねてしまったせいで、ルーシャ先生から「正当化してどーすんの!」ともう一発拳骨を貰ったエイジはたんこぶをつくって戻ってきた。

「痛い……でもエデンを守らないと」
「時と場所を選ばないとね。でもエイジ、今日の戦いはすごい恰好よかったよ?」
「……あり、がと?」
「何で首傾げるのよ」
「恰好よいって言われたこと、あんまりな
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