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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
滴る氷柱2
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「一度ラバルナ帝国に支配されたとはいえ、そもそも国家とは大きいほど管理が大変なものだ。しかも一強ならばまだしも統一議会の合議制と来たものだ。それが複数あるとあっては、利害関係は必然的に混沌化する」

 さっきから感じていたが、この授業中学の指導要綱にしては難しくないか、とエデンは思う。クラスの半分くらいがだんだんついていけなくなっている気がする。いくら授業要綱をかなり飛ばし気味に駆けているとはいえ、エデンも正直途中からだいぶ理解が曖昧だ。もしかしたらリック先生は教えるのがそんなに得意じゃないのかもしれないなどと失礼なことまで想像する。
 仕方なく、理解を深めるためにエデンは手を挙げる。

「あの、先生。ゴーギセーとかコントンとか言われてもいまいちピンとこないんですが」
「そうか?そうだな……」

 少し考え、リック先生は説明の仕方を変えてくれた。

「例えば今、このクラスの授業方針は俺が決めている。お前らは色々思いがあるだろうがとりあえず先生の言うことだしと従う。俺がルールを決める一強体制だ。反対意見が起きにくく、起きたとしても俺に怒られて従わせられる。だから話を決めたり行動するのが早い。代わりにトップに対する不満が募る」
「実にこのクラスの勢力図を如実に表しているな」

 皮肉気に悟が漏らし、古芥子姉妹がウンウン頷く。

「ところがだ。俺と副担任の仲が悪く、俺が右だと言えば副担任が左だと言っていがみ合うと、お前らは結局どっちなんだよ、という事で動きにくくなる。足並みは揃わないし代表は喧嘩してばかりとなると、残されたお前らは今のうちにサボってしまおうとか、逆に他の生徒や先生と協力して俺らの喧嘩を止めようとばらばらに動き出すかもしれない。今のヴァンゼクス連合はそういう危険性を秘めてるって訳だ」
統一王(シャー)であるリュドス四世が抑止力であり絶対者(せんせい)として君臨しているから辛うじて纏まってるけど、カリスマの政治は代替わりで潰れるのが世の常だからねぇ……あ、ちなみに私はリック先生と喧嘩とかしないから安心してね?」

 にぱーと笑うルーシャ先生。
 しかし、エデン的には喧嘩しないってものどうなんだと思う。彼女の家も、どっちが勝つかは別にして父と母は時々ぶつかり合ってる。それがないのは、本音がない関係じゃないのだろうか。

「……家族ってたまには喧嘩もするもんじゃないですか?」
「むっ……じゃあえーと……リック先生!パートナーたる私をもっと尊重してくれてもいいんじゃないでしょうか!」
「いつ尊重しなかったってんだよ」
「昨日一緒のベッドに入ってくれなかった!」
「バカたれ」
(駄目だこりゃ。この二人は喧嘩しないわ)

 所詮家族の在り方とはエデンの中での在り方だ。中にはこんな家族もあるだろう
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