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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
皐月の雹3
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絶対に向かないことだろうとも思ったが。

「……さて、ここで問題だ。それほどの冷気を発してるにも拘らず目の前の二人が平気そうにしている理由はなんだ?戌亥、答えを」
「そそそ、それは……発動者であるエイジとパートナーのエデンは、たた、単純に自らの内包する世界故にそれを異常と感じて、いい、いないからで……」
「うむ。では浜丘に影響が薄い理由を、千宮(せんのみや)、答えろ」
「浜丘様が平気なのは……っ、魔鉄の加護(ブラッド・アーマー)が浜丘様によって強化されているからと、推測されます……パートナーの永居様も若干ながら、浜丘様の恩恵を受けているかと」
「正解だ。お前らもアーマーを纏っているからその程度で済んでいるが、実際のところ――」

 言いながら、リック先生が手に持つ契約魔鉄器の端をパカっと開き、中から携行ゼリーの袋を取り出して「ほら」と、エイジに投げ渡した。エイジがそのゼリーを受け取ると、パキン、と鋭い音を立ててゼリーが完全に凍結する。

「――アーマーなしに近づくと、ああなる程度にはすさまじい冷気を放っている」
「というかその魔鉄器、小物入れまでついているのか!?」
「生徒の為の非常食が三日分入っている。ほかにも簡易浄水ストロー、魔鉄ラジオ、携行魔鉄灯、衝撃吸収パット、小型救急キット……」
「非常袋かッ!!というかそんな見た目しといて意外に軽い原因の一つはそれかッ!?」

 相変わらずツッコミに余念がない悟である。そして先生は一体何に備えているのだろうか。

 閑話休題。エイジがAB供給を自ら停止させたことでやっと普通の温度が戻ってきたので周囲もすっかり平気になっている。

魔鉄の加護(ブラッド・アーマー)については、とっくに授業で基礎を教えたから全員把握してるものと思う」

 リック先生の言葉に反論する者はいない。それぐらい魔鉄の加護とは当たり前の知識だ。

 魔鉄の加護、それは製鉄師と魔女が契約した時点で身に纏う『論理防壁』だ。私たちの生きている物質界より上位とされるOI能力の源、霊質界――その世界の法則をうっすらと纏うことにより、肉体が物質界に対して優位性を持つ。
 この優位性の法則はいまだ曖昧な部分があるが、特筆すべきは「害意ある物理攻撃」――銃弾や刃物に対しては特に強い優位性を持つということだ。つまり相手が製鉄師である場合、OI能力を持たない人間はどんなに強力な武器を持っていようが全く歯が立たないということだ。
 これを破るには同じOI能力者であること、もしくは元々が霊質界の存在である魔鉄を加工した武器がなければならない。また、OW深度が深まると『論理防壁』の纏う上位法則も濃くなるため、同じOI能力者の間でも防壁の強度は異なる。

 と、ここまで聞くとものすごく聞こえるが、製鉄師同士の戦い
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