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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
皐月の雹2
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、強烈なイメージが脳を劈く。天馬と朧以外の全員が、その迫力に一歩引いた。その二人も耐えているような顔だった。エイジだけはエデンを庇うように前に出た。
 もちろん、術が発動していないので起きるのはそれだけで、全員足並みを揃えなおす。
 エイジがエデンをかばったことに気づいたメンツの生暖かい目線が注がれて恥ずかしいが、正直ちょっと心強かったのは秘密だ。強烈な圧は先生が力の供給を閉じたことで消失する。

「今感じたのが、俺の世界だ。ただ、さっきのは発動はせずに漂ってただけだがな。俺のは単純な肉体強化型だから気圧される感じだったろうが、個性的な世界が見えてる奴や深度の深い奴の威圧感は、もっと具体的なエネルギーを感じることもある」
「炎使いだったら『熱い』、分析系の能力だったら『見られてる』、って感じだよー。でもね、それを感じるっていうのはそれだけ強力な力ってことだから気をつけなきゃダメだよ?」
「そうだ。そういった感覚を遠くからでも感じたらそれはまず厄介ごとだ。大原則として『近づくな』。そして不安なら警察などの大人を呼べ。避けられないなら抵抗するのは当たり前だが、まずは危機回避を考えるんだ」

 危ない場所には近づくな。当たり前すぎる話だが、なまじ力を得た生徒が自分から厄介ごとに首を突っ込んで痛い目を見るのは全国的によくあることらしい。

「さて、ここから術の発動に至るまで三つの手順を踏む必要がある」
「多いね、美杏」
「順番間違えて覚えそうだね、美音」
「間違えたらもちろん術は上手く発動しないから気を付けるように」
「「はーい!」」
「まず、位階提示だ。これは自分の身の丈に合った規格に力をはめ込むためのものだ。大は小を兼ねず、逆も然りなので自分の位階と同じものを唱えろ」

 位階はいわゆるOW深度とほぼ同じもので、深度一が『製鉄(スティールオン)』、深度二が『鍛鉄(トライン)』、深度三が『振鉄(ウォーモング)』となっている。ちなみに深度零は『埋鉄(ベリード)』といい、一応OI能力はあるが術の発動はできない『未覚醒』の人だ。一般人とは違って深度上昇の可能性はある。

「次に術名誦句。簡単に言うと、自分の能力の名前だな。発動前に自分で決める奴もいるが、多くは唱えてる途中にふと思い浮かぶワードをそのまま能力の名前とする。要は気の持ちようだ。微妙だと思ったら後で変えられるから気負いはするな。俺の教え子に昔、詠唱するたびに術名が違う奴がいたが、毎度同じ術が同じだけ発動してたからな」
「そんないい加減なことでよく毎度発動出来たなそいつは!?」

 悟ツッコミ炸裂。しかしリック先生もさるもの、大真面目な顔でボケ返す。

「相当いい加減な奴だったな。今は別の学校で臨時講師してるって聞いてるが、ちょっと想像できん」
「だろうな!俺も
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