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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
皐月の雹
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いますと?」
「魔鉄加工で金属を変形させる際に、手動で金属を引き伸ばし、糸のように伸ばし、編み、一つながりのコートに仕立て上げたかだ。たまげたことに染色には魔鉄技術を一切使っていない。いやはやこいつは………作った奴は国宝に相違ない」

 展開されたページを眺めて感心したように彼はそう締めくくった。
 つまり、どういう事だろうかとエイジを見ると、少し考えるそぶりを見せたのちにエイジが答える。

「つまり、粘土細工で粘土を一度も千切らずに精密な構造物を作るようなもの、かな」
「いやもっとだ。作り主は木を掘って銀閣寺の中を畳まで削り出すような技量の持ち主だ」
「リック先生、これ本当に学生技師が作ったものなんですか?」
「……どうやら氷室の要求するもののハードルが高すぎて、百年に一人の天才にでも仕事が回されたようだな」

 ある意味、とんでもない契約魔鉄器を手に入れてしまったのかもしれない。

 一方、古芥子姉妹の契約魔鉄器は、輪投げの輪のような外見の無数のリングだった。どれもキャンディーやドーナツを連想させるファンシーなデザインだが、あれをどう使えばOI能力を効率的に扱えるのか見ただけではまったく想像もつかない。計8つのリングを半分こして腰のベルトに装着した二人は、一見するとどっちが製鉄師なのか分からなかった。

「これぞ秘儀、どっちが攻撃してくるでShow!」
「開始時からすでに高度な心理作戦は始まっているのだよワトスンくん!」
「二人まとめて吹き飛ばせば宜しいのではなくて?」

 しれっと八代夜が物騒なことを言っているが、ある意味真理かもしれない。
 さて、件の八代夜の格好だが、なんというか凄いな、とエデンは思った。何が凄いかというと、あんな趣味的な恰好をしていながら恥じらいの欠片も見せない八代夜の堂々たる立ち振る舞いである。

 彼女は普段の獣耳はそのままなのだが、肩から股間あたりにかかる薄いプロテクターが契約魔鉄器らしい。そのプロテクターの形状が、戦闘用の堅牢さを感じはするがバニースーツみたいな形状なのである。
 しかもそのプロテクターのお尻辺りには猫のような尻尾が1メートルほど伸びている。もうエデンには完全にその手のものが好きな人を狙っているとしか思えない。両手の籠手だけは凶悪性を象徴するような爪が仕込まれているのが見えるが、あとはもふもふした上着や靴下を履けば完全にコスプレイヤーさんである。

「滅茶苦茶セクシーな恰好に思わず写真撮りたくなるぜ……じゅるり」
「おい永海、発情するな。いや、女に発情するお前の性癖にどうこう言う気はないが、せめてTPOを弁えろ」
「……へいへい、分かってますよーっと」

 一瞬獲物を見た獣のような眼をした永海だったが、悟が制してすぐに身を引いた。
 もしや、永海が
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