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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
皐月の雹
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施され、まるでゲームに出てくる装備のような仰々しさがある。藍色を基調としたそれを、エデンは横から摘み上げた。見た目は数キロありそうだが、驚くほど軽い。見ていて気付いたが、ボタンもチャックもなく、本来それがあるべきところには縁に「柔らかい金属」が装飾されているだけだ。

 エイジは戦闘服の上から着こんでいた分厚いコートを脱ぎ、若干寒そうに身じろぎしながらそのコートを羽織ると、先ほどの「柔らかい金属」が自動的に接合され、一瞬でコートを着込んだ状態に変わった。どうやら使いやすさにリソースをある程度割いているようだ。
 ブーツもそうで、靴を脱いだエイジがブーツの踵の部分を足先で蹴ると、バシャッ、と音を立てて後ろからブーツが開いた。そのまま入れると開いた部分が閉じ、ブーツが足にフィットする。
 横から見ていた天馬が物珍しそうに感嘆の声を上げる。

「かっこいいなおい。趣味全開って感じだ」
「そうであろうか。たかが羽織と靴に仰々しいからくりをつける理屈がよう分からぬ」

 エデンとしては前者の意見に同意だが、朧の目は胡乱気だ。
 二人の温度差に美杏と美音が茶々を入れる。

「朧ちゃんには変身ヒーローに憧れる男の子の気持ちは分からないようですなぁ」
「でも大丈夫だよ天真くん。美音も美杏もそのへん理解あるから!」
「お、おう。いや別に変身ヒーローが好きって訳じゃ……そりゃ子供の頃は憧れたけど」
「でもエイジくんのそのコート、どっちかっていうと悪の幹部感あるよねー」
「ほらほら、フード被ると完全に闇の組織の人か謎多き危険人物だよ!」
「……って、こらエイジ。さっそくフード被るんじゃないの。取った取った」

 まだ春とはいえこの寒がりは筋金入りだ、とエデンは苦笑いしながらフードを取った。中のエイジは少しだけ恨めし気にこちらを見たが、素直に従う。

「うん、様になってる。でもちょっと格好つけすぎかなぁ、このデザインは」
「だけど、あまり金属装飾が減ると魔鉄器としての機能が落ちるんじゃないかな」
「ま、そうか。にしても、これ金属プレートと生地とどっちも魔鉄製なんだよね?どうやって作ってるんだろ」
「方法は二つある」

 エデンの疑問に答えたのは、相変わらず大きな本を手で持たずに浮かせている悟だ。
 彼の本がパラパラとめくれ、紙ページが本体から切り離されてホロモニタのように悟の周囲に浮遊する、それを眺めながら、悟はどこか面白そうに語る。

「一つは魔鉄加工でコートを作り、その上から金属パーツを取り付ける方法だ。物理的に密接している場合は一つの魔鉄器として機能する法則がある以上、そのやりかたでは鉄をコートのような質感に変えるという法則にリソースが割かれ、機能が低下する。だが見たところ、そいつは違うな。もう一つの方だ」
「と、言
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