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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
春の霜4
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ういうことです」と言っていた。





 学校の設備は様々あるが、特組は人数が少ないにも関わらず合同授業ではなく単独授業が多い。これも特組の特殊性なのかもしれないが、他の組の普通科生とは休み時間ぐらいか話すタイミングがなかった。

 尤も、人が多いのが苦手らしい八千夜と騒がしいのが嫌いな悟は全く意に介していない。悟のパートナーの永海はというと、悟を放って他所に遊びに行きまくっている。エデンとしてはこの二人が一番契約を交わした人間として謎だ。あまり会話しないし深いつながりを感じないのに、二人とも不満もなさそうだ。

「ばらばらに行動してるけど、仲悪いの?」
「……アイツとの契約条件は満たしてるからいいんだよ。俺たちはお前らと違う……単なる利害の一致で契約しただけだ」

 そう言われて、そういえば自分たちは特殊な方に含まれるのだと今更ながら思う。国選魔女とAFS患者で、しかも家族同然。かなり凄い。対して普通に入学した生徒たちは誰もが「友達だから」とか「好きだから」で契約を求めている訳ではない。そういう人もいるだろうが、山ほどいる以上はもっと合理的な基準で選ぶものだろう。悟と永海の契約は、きっとそんな契約なのだ。
 ちなみに、永海に同じ質問をしてみたら、彼女は笑いながらこう言った。

「いーのいーの。むしろ悟がああだから安心して契約出来たんだぜ、オレ。間違っても好きになられたら困るしな!」

 ――この二人の関係を理解するには、エデンには時間と付き合いが足りなそうだ。

「なーエイジ。お前も相手がエデンだから契約できたんだろ?」
「うん、そうだね。もしも世界が巻き戻っても、やっぱり僕を助けてくれるのはエデンだと思う」
「くーっ、このエデンちゃん大好き人間めっ!このこのっ!」
「あっ、コート引っ張っちゃダメ……!そ、そんなことするなら僕にだって考えがあるぞっ」
「ふふん、何をするってんだよ?」
「隣のクラスの男の子から永海宛てにって渡されたラブレターをここで朗読する」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉッ!!男に告白されるとか鳥肌立つわッ!!色々と悪魔かお前ッ!?」

 そして、なぜか永海はエイジとやけに仲がいい。エイジのコミュニケーション能力が上がるのはいいことなのだが、いつの間に仲良くなったのだろう。不思議であると同時にちょっともやもやする。もしエデンでなく永海がエイジと先に出会っていたら、契約成立したんじゃないか、と。

「あっ、エデンがヤキモチ焼いてるぞ。行って抱きしめてこい!」
「えっ?焼き餅?お正月でもないのにどこから餅なんて……」
「いやそーいうことじゃねーよっ!お前のマジボケには毎度びっくりだよ……」
「ふふん、このエデン様その程度のマジボケには動じないわ。付き合いの長さが違うもの!」

 
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