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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
夏の雪解け3
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する程思うが、お前私のこと大好きかよ、という気持ちがないでもない。
 でもそれ以上に、なんだか出来の悪い弟が寂しがって頼ってくれているようにも感じる。一人でいさせるのも少し心配だし、なんだか喋り方もちょっと子供っぽさがあって、最後には「しゃーないなぁ」と世話を焼いてしまうのだ。
 
 部活。残念ながらスポーツ関係の部活は諦め、他のいろんな部活も身長という大きな壁に阻まれ、美術愛好会でちまちま絵をかいたりする程度だ。ちなみにエイジはこの愛好会で写真と見紛う程に精巧なデッサンを書くのだが、本人は「写真で代価できる僕の絵より皆の絵がすごい。真似できない」と口を尖らせてぼやいている。どうやら、まるっきりコピー以外出来ないという完全記憶能力の人みたいな画力らしい。
 嫌味かよ、と思わないでもないのでちょっと小突いた。きょとんとした顔で、「ご、ごめん……?」と言われ、自己嫌悪した。割とよくある日常である。


 そして、帰宅。日によっては買い物をして帰る。
 この日の夕食は姉と私とエイジ。

 さて、何でも覚えてしまうエイジは料理も得意かと思いきや、そうでもない。先に言った通り舌がおこちゃまなのと、余りにも細かく調理をしすぎる。「大雑把さ」が足りないので、結局三人で分担しないと料理が間に合わない。

「エイジくん、じゃがいもの皮はそこまで薄く切らなくともいいのよ〜?」
「で、でも……身の部分を態と多く削るなんて、どうすれば……」

 おっとり指摘する姉のサリアにしどろもどろになるエイジ。かなり独創的な野菜の皮剥き観を持っているようだ。しかし、このまま放っておくと姉に嘘でも教えこまれかねないので、私がそれっぽく教えた。

「いい?剥く皮は縦幅2センチで切るの。この2センチを優先すればよし!」
「うん。2センチ……こんな、感じ?だいぶ身が削れちゃう……」
「この場合は身より速度よ。時計を見て、時間と相談するの!」
「エデンちゃんったらすっかりお姉さんね〜」

 とまぁ、こんな感じで食事だ。両親が帰ってきて、兄が帰ってきて、一緒に食卓を囲む。
 その後はまぁ、ちょっと外に出かけたり、ゲームやテレビを見たり、パソコンを弄ったり、特に意味もなくエイジと一緒にいたりする。不思議とその時間が、心地よく感じるから。
 
 こうしてエイジとの不思議な共同生活は半年続き――『聖観学園』へ編入する頃には、もう互いに互いを家族として認識するようになっていた。
 
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