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【ユア・ブラッド・マイン】〜凍てついた夏の記憶〜
凍てついた夏2
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ないから話の合う友達は本当にありがたい。他にも既に帰った何人かはワイヤー(現実世界におけるLINE)グループに招待してる。

「てゆーかさ、マジAFSの人の採掘って大変なんだね」
「最初30人いたのにいつの間にかうちらだけだもんねー」
「これ全滅したらどうなんの?」
「午後から別の人達呼んでるんだって。完全に数撃ちゃ当たる作戦だよこれ」
「全滅したら全員でお昼食べにいかない?」
「賛成ー!えーっと、オッケーベーグル!東都の評判の店!」

 さっそくスマホ検索始めてるし。ぽぴーん、と小気味のいい音と共に出た検索結果を皆で見あって「これ美味しそー!」「でも人気店だし待つかも」「ちょっとぐらいよくない?」「予約いれられるところ探そっ」と盛り上がっていると――部屋の天井にあるスピーカーが鳴った。

『待機番号25番、(あかつき)エデン様。10分後より『採掘』を開始します。速やかに用意を済ませ、儀礼室までお越しください』

 (あかつき)エデン。楽園の名を冠したその大仰な名前は、私につけられた名前だ。
 とうとう自分か、とため息を吐いて立ち上がる。
 魔女特有のメタリックな光沢がある赤銅色の髪を、お気に入りの白いヘアピン二つで留めた以外は別段特徴もない容姿。勉強はちょっと苦手だが教科書に載っていないことは多少知っている程度の知能。つまり、魔女である以外に取り立てて特徴のない女が、国に呼ばれている。

「じゃ、行ってくるねー」
「頑張ってやられてこーい!」
「ちょっと、戦うんじゃないだから」
「そのまま鉄脈採掘できちゃったりして!」
「まぁそうなれば私ら解散なんだけど、エデンちゃんとご飯は無理になるよー?」

 正直な所、あれだけの人数で試してダメだったのに私で上手くいくとは思えない。父も母も話を聞いた時は「AFSの採掘成功なんて宝くじ3等当てるくらいの確率だし」と高いのか低いのか分かりにくい例えをされた。

 だからこの時の私は特に深く考えず、さっさと採掘をやって負けてこようと思っていた。



 それが運命だったのか、それとも必然だったのかは――今となっては判らないのだけれども。
 
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