純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 16
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
量や味で非常に難が目立つ料理ですが、それさえ誤魔化してしまえば普通に食べられるんですよ。ただ、食感とパンに関しては、手の施しようがなくて申し訳ないのですけど……。ああ、際立った味を抑える分、通常の料理では物足りなく感じてしまいますが、規定量さえ順守していれば、三十分程度ですっかり元通りになりますので。そこはご安心ください」
「あくまでも一時的な効果、ということですか?」
「その通りです。子供達にとって孤児院の食材は根菜の皮一枚も貴重な糧。皆様には様々な面でご不快に思われるでしょうが、どうか皆の努力を汲んであげてください」
姿勢を正して頭を下げるプリシラに、騎士達は互いの顔を見合わせ……
素早く礼を執った。
「不快など、とんでもない!」
「我ら一同、子供達の善意と次期大司教様のお心遣いに感謝しております」
「料理ももちろん、残さずいただきます!」
確かに、できるなら食事を始める前に、事情を話しておいて欲しかった、とは思う。打てる手がないとしても、心構えだけはしておけただろうから。
しかし、薬が入ったあの白いポット。
子供達が席を離れるまでは、食堂内のどこにも置いてなかった。
プリシラの手が届く範囲内にも、だ。
ここに居る騎士達は、第三王子付き騎士団員。
騎士の中でもより優れた技能を持つ精鋭、という職業柄自負しているが、初めて訪れる場所は隅から隅まで注意深く観察する癖が身に付いている為、己の目で確かめた情報に誤りはない。
誤りなんかがあったら、注意力不足で即時護衛失格になってしまう。
つまり。あのポットは、プリシラ自身が食事を終えた後、子供達が食堂を出ていくまでの間に、どこか別の場所……
おそらく、厨房から急いで持ってきた物。
子供達に注目され、自身は塩辛いままの品を顔色一つ変えられずきっちり完食するしかなかっただろうに、騎士達には少しでも食べやすいようにと、こうしてわざわざ一人一人に、しかも頭を下げながら提供してくれたのだ。
もしかしたら、子供達を早々と部屋へ帰してくれたのだって、薬を配る為かも知れない……と考えるには、少々空が黒すぎるが。
ここまでされて不快感を抱く不義理者など、騎士団の中には居ない。
仮に居たとして、そのバカがうっかり眉を顰めた瞬間、物凄く嬉しそうで無駄に爽やかな笑顔の『あの方』が、真剣を片手に持って飛んでくるような気がしてならない。
当然『あの方』に目を付けられたそのバカは、通常任務と並行で三日三晩不眠不休の精神修行まっしぐらだ。同情の余地は一切ない。
どこで見ているか分かったもんじゃない『あの方』ことアルスエルナ王国第二王子殿下の鋭い眼差しを思い浮かべて全身を震わせた騎士達は、目にも留まらぬ速さで席に着き、改めて塩味のみの食
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ