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徒然草
127部分:百二十七.改めて

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百二十七.改めて

百二十七.改めて
 修理してもそれでもどうにもならないものはいっそのこと壊してしまった方がいいです。
 確かに壊れてしまったものを修理してそれでまた使うということはよいことです。何でもかんでもいらなくなったら捨てるということはものの有り難みがわかっていない人のすることです。そうした人になってしまってはいけませんしなろうというような行いもよくはありません。
 多少壊れてしまってもそれでもなおしていけば使えるものです。使えるならば最後の最後まで使うべきです。それでこそ立派な人ですしものもその方が有り難いと思うでしょう。お互いにとっていいことであります。けれど物事には何でも限度というものがありましてもうどうしようもないところまで使ってしまったなおしてもどうしようもないまでにいたんでしまったならそれで終わりとするべきです。
 人が必ず死ぬのと同じようにものも何時かは完全に壊れてしまいます。壊れてしまったそれを何時までも使うというのは無理があります。使えなくなってしまったものを何時までも取っておくということもこれまた無駄なことであります。ですからもうどうにもならなくなってしまったものは諦めて捨てる方がいいのです。未練があるのなら壊してそのうえで捨てるべきです。これを酷いと思うこともありません。何故ならこの場合壊すということは悪いことではなく言うならば火葬と同じです。火葬してしまえばそれで人は天に昇ることができます。ですからもう完全に使えなくなるまで使い込んだものは捨ててしまい未練があるのならば壊してしまってもいいのです。そうしてものに別れを告げましょう。死んだ人と別れるのと同じです。それがものにとっても幸せなことではないでしょうか。そう思う次第であります。


改めて   完


                 2009・9・18

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