バレンタイン・キッス
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(グランバニア城・近衛騎士隊長室)
『2月14日はバレンタインデー?
マリー&ピエッサは、日頃の感謝を込めて
2月14日バレンタインコンサートに来てくれた皆様に
手作りのチョコレートを手渡しするわよ?
みんなこぞってコンサートに来てね?』
「…………なんですか、これは?」
「読んで解るでしょぅ……バレンタインデーにコンサートして、そん時にチョコを配るのよ」
ここはグランバニアの近衛騎士長を務めるラングストンのオフィス。
王家の中枢に関わる職務なだけあって、それなりに重要な機密事項も扱う者の執務室だ。
そこにノックもせずに勝手に入ってきて、出来たてっぽい手書きのポップを見せつけるマリー……
部屋の主も怒鳴る訳でも無く冷静に質問を返す。
密室で男女が顔を近付け会話をする……傍から見ればイチャついて見えない事も無い。
「……なるほど。コンサート会場はいつも通り城内カフェを使用するのですね。となると……収容人数120人。テーブル等を取り払いギュウギュウに詰め込めば160人は入れるでしょう。チョコの量も膨大ですね……大変そうだ(笑)」
「その分〜お金もぉ〜いっぱいよ?」
自分の行動が無礼であると微塵も感じてない少女は、満面の笑みでゲスい事を言う。
聞いてる近衛騎士隊長も慣れた感じで笑顔で返す。
そして少しずつ確信へと近付くのだ……
「いやぁ〜……しかし手作りとは。どの辺から手作りなのですか? カカオの実から手作りするんですか? 詳しい事は知りませんが、今からでバレンタインデーに間に合いますかねぇ?」
「やだぁ〜、ラン君がそうしたいのなら構わないけど、バレンタインデーには間に合わせてよね」
「おや? 何故に私の意見が関係するのですか? 私は無関係ですが……」
「も〜う……何言ってんのよぉ。ラン君がチョコを作るんでしょう。まぁ市販のチョコを一旦溶かして固め直せば、それで手作りって言い張れるから問題ないわよ……何もカカオの実から作らなくても」
「変ですね……『マリー&ピエッサの手作りチョコ』と書いてあるではないですか。私が作っては詐欺になりますよ」
「おいおい、よく見ろよ。何処にもマリー&ピエッサの手作りなんて書いて無いだろ。『手作りのチョコレートを手渡しする』と書いてあるだけで、手作りしたチョコレートを渡すとは書いて無い。詐欺じゃないわよぉ!」
「いやいや、この文面から察するに誰もがマリピエが手作りした物だと考えるでしょう。間違いなくそれを狙ってるのでしょうから、これは詐欺にあたりますよ」
「如何思うかは受け取る方の勝手だろ! こっちは微塵もそんな事を書いてねーんだ。詐欺じゃねーし!」
「酷い言い分だ。ファンが聞いたら何と
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