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ソードアート・オンライン〜Another story〜
オーディナル・スケール編
第270話 オーグマー
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――そんな、ありえない。こんなの、ありえる、ハズがない……!
この男の事は、話には聞いていた。
数える程度の事ではあるが、実際にこの目で見た事もある。
あの世界で戦う姿を。
……まるですべてを見通しているかの様な先読み。先を読んでいるからこそ。相手にしてみれば、先が見えている相手には、こちらの攻撃が全く届かない。それに加えて、先を全て読んでいるからこそ、受ける攻撃は全て当たる。……あり得ない角度からも攻撃が来る。逃げる事さえ出来ない。
攻撃の一手一手、守りの手、全てがあり得ない。
それらが数値化できるとするならば、全てが測定不能になるのでは? と思う程だ。
目の前で戦っているというのに、……まるで、瞬間移動をされているかの様にも思える程に。
――今は違うんだ! 今は、違う!! それは
あの世界
(
・・・・
)
だけの話……。所詮ゲームの中の話だけだろっ!?
そう、あくまでゲームの世界の話だ。
魔法にしろ、空を高く翔ける翼にしろ、銃弾にしろ、それらは全てゲーム。
仮想世界
(
VRワールド
)
の話だ。現実で行える筈がないのは明白。現実の世界ででは翅で飛ぶような事は出来ない。魔法のような力を撃つ事だって出来ない。銃弾を受けて、五体満足でいられる筈がない。
ここは現実だ。嘘の世界ではない。……本物の世界だ。その筈、なのに。
彼は、目の前の光景が理解出来なかった。否、理解したくなかった。
それは底のしれない何か。あり得ない人外。目の前に佇む男。
そう――あの嘘の世界、SAOの世界では、確か こう、呼ばれてもいた。
『お前は、最も してはいけない事をした。……触れてはいけないものに触れたんだ。……何よりも、傷付けた。……オレの、大切な人を』
目の前であふれ出るのは凶悪なオーラが見えた。
明らかにそんなシステムを組み込んでいる訳でもないのに、はっきりとそう見える。
そして、その直ぐ後に、自分に降りかかる厄災を予見した。自分に何が起こるのかもわかった。あらゆる面で、優位に立っている筈なのに、全て無意味だと思える程、だった。
認めたくない気持ちだけが前面に出ていた為に、背を向ける事だけは無かった。それが良かったのかは……判らない。
そう、この目の前の男のもう1つの名は……。
『報いを、受けてもらう。……裁くのは、オレだ』
深紅の瞳を持つ……鬼。
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