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SAO−銀ノ月−
『どうかこんな日常が』
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されている。

「なに照れてんのよ。どっちが恥ずかしいと思ってんの?」

「どっちも恥ずかしいならさっさと止めた方がいいんじゃないか?」

「それはダメ……あたしだってね、たまには甘えたい時くらいあるのよ」

 そんなショウキの偽装工作などまるで意味をなさず、照れ隠しは無駄に終わってしまうけれど。代わりと言っては何だが反撃のように放った返答に、彼女の言葉のトーンが目に見えて下がっていった。

「…………」

 それからはちょっとした沈黙だった。とはいえどちらもソファーの誘惑に寝てしまったわけではなく、リズは相変わらず何がいいのかショウキの膝枕を堪能して、時たまゴロゴロと体勢を変えているほどだ。そしてショウキが天井の木目を数えるのに飽き始めた頃、沈黙を破る口火を切ったのはリズだった。

「ねぇ」

「ん?」

「聞かないの?」

「聞いて欲しいのか?」

「……」

 再び、ちょっとした沈黙。どうしてこんなことをしているのか、理由でも聞いて欲しいのかという問いに、リズは少しだけ言葉に詰まったようだ。ただし今回の沈黙は一瞬で、すぐにリズが重たげにだったが口を開いた。

「ちょっとね……家族と言い合いになっちゃって。将来のことで」

「だろうな」

「だろうなって何よ! ……って言いたいところだけど、まあ、ね」

 リズの将来の夢は、現実世界で自らの店を構えること。立派な夢ではあるだろうが、それがどれだけ困難であることは素人にも分かる。自分たちの周りに店を構えている者と言えばエギルだが、学生組には出来るだけ見えないようにしていても、たまに難しい表情をしているのが見てとれるほどだ。ましてや修行中という環境下において、そんな現実を目の当たりにしていることだろう。

「……でも、夢なんだろ」

「当たり前でしょ!」

 それでも、諦められないのが夢というもので。ようやく天井から眼下にいるリズの顔に視線を合わせてみれば、相変わらずの笑顔がすぐそこにあった。

 まるで太陽のような。

「……ごめんね、ちょっと湿っぽくなっちゃって」

「たまには甘えたい時くらいある、らしい」

「……そうね……よし! そろそろ修行再開の時間だから……このままログアウトしていい?」

 ショウキの返答を聞くまでもなく。寝落ちログアウトを試すべく、リズが横を向いて瞳を閉じた。本当に耳掻きめいた体勢になったな――などと思ってしまった為にか、ふと見てしまった、少し紅くなっているうなじから慌てて目をそらす。

「ショウキ」

「なっなんだ?」

「何うわずってんのよ、変なとこでも見てた?」

「……見てない」

「……その話は後にするとして。今日は甘えちゃってごめんね。だから今度は――
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