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SAO−銀ノ月−
『どうかこんな日常が』
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の逃避であろうとも、今でも自信をもってリズが好きだと言える――

「……ん?」

 ――言える、というか。そんな末代まで呪われるほどに恥ずかしい言葉を、言えるどころか今まさに言ったことに気づいたのは、対面のガーネットが顔を真っ赤にしながら、口をパクパクと開閉させていること。それと後頭部に強い衝撃を感じたからだった。

「なななあに人前で恥ずかしいこと言ってんのよ!」

「あ、いや、その、あの」

 立ち上がったリズからの一撃をしっかり甘んじて受け入れながら、もちろんショウキにも、そんなことを言う気などさらさらなかった、と再確認する。そもそもガーネットからの質問は、SAO生還者から見て従兄氏の幸せの邪魔をする連中を説得する言葉はないか、ということであり、ショウキののろけなど一切合切まったく聞いてはいない。

「あ、あーもう……ごめんねガーネット……ガーネット?」

「へぁっ!? あー、あーその、ご意見ありあとあす! それじゃ!」

 そうして後頭部に強い一撃を受けた衝撃から、そのまま頭を下げた体勢になったショウキとともに、何やら変な空気になったことをリズが謝罪したが。どうやらこういった話にまるで耐性がないのか、当事者の二人より顔を赤くさせながら、ガーネットがカクカクと身体を動作させていた。するとそのまま急に立ち上がると、とてつもないスピードでリズベット武具店の出口へと走っていく。

「ちょっ――」

「おおおおお幸せにぃ!」

 そうして何しに来たのやら、ガーネットは止める間もなくそのまま退店していった。まるで台風がやってきた後のようなリズベット武具店に、店主がため息とともにソファーに座る音と、助手が頭をあげてコーヒーを飲む音だけが響き渡った。

「ねぇ、ショウキ」

「ん?」

 先ほどまでの騒動が嘘のような、ショウキとリズの二人しかいない静寂の空間。ロマンティックに言うのならば、まるで二人だけ世界に取り残されたような感覚に襲われる。とはいえ先の話題から、どこか話しかけにくい気まずい空気が流れていて、短い応答をお互いに繰り返す。

「あたしもね、今あんたを好きなの……確かに最初は、ガーネットの言う通りに人恋しさだったかもしれないけど」

 そうして無音の武具店に、リズのそっぽを向いた告白が響き渡る。言われっぱなしではフェアではないからと言わんばかりに、ショウキではない方を向きながら、彼女はとつとつと語りだした。出会いはデスゲームからの逃避のための行動だった、と前置きしながらも。

「だけど一緒にいて楽しくて、思ったよりダメで放っておけなくて……たまにかっこよくて。何も言わずに夢を応援してくれる、あんたが好きなの。今」

 そうして先のショウキと同様に、出会いがなんであれリズも今のショウキ
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