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SAO−銀ノ月−
『どうかこんな日常が』
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ョウキは全力をもって言葉を止める。隣で舌を噛んでいそうな声をあげたために不審な目では見られたものの、リズはガーネットの話の続きに興味を引かれたようで、ショウキはほっと胸を撫で下ろしつつコーヒーで一服していると。代わりと言ってはなんだが、先程まではまるで自分のことのように幸せそうにしていたガーネットの表情が、あまり話したがらなように少し曇っていく。

「うん……二人は幸せなんだ。なのにさ、親戚や世間の連中は、それをデスゲームが作ったまがい物の幸せだなんて言うんだ……」

「はぁ? どういうことよ」

「ゲームの中で会っただけとか、死の恐怖から逃げたかっただけ……とかさ」

「…………」

 現実世界ではなくあくまで仮想現実で会っただけ、しかもデスゲームで得た愛などただの偽りのものだろうと。そんな意見を間接的とはいえ伝えられ、ショウキとリズは自然と目を合わせた。結婚などまだいってないにしろ、それらはショウキとリズにももちろん当てはまることだったからだ。

「なあ……何かそいつらを黙らせる話ってないかな? SAOって、ただのデスゲームだったのか……?」

「……そうだよ」

 SAO生還者だろうと幸せな二人をあざ笑う連中が許せないと、そいつらを黙らせる話が他のSAO生還者から聞きたいと、短い上にプレミアを通じた付き合いではあるが、ガーネットは馬鹿正直だが真剣にそんなことを考えている。しばし何を語るかショウキとリズは思案しあっていたが、ひとまずショウキから語りだした。

 SAOはただのデスゲームだ、と。

「で、でも……そこで掴んだ幸せは嘘じゃないよな?」

「いや、デスゲームじゃなかったら会いもしなかっただろうし、恋したのもデスゲームだったからだ」

 ……気づけばSAO生還者の話ではなく、ショウキは自分自身の話をしているような錯覚に陥っていた。ああ、そもそもSAOがデスゲームなどでなければ、ショウキは継続してプレイしていなかったかもしれない。もしも仮想現実に魅せられていたとしても、リズとこうした関係になることはあり得なかっただろう。

「デスゲームの人恋しさで出来た恋人が嘘っていうなら、嘘なんじゃないか」

 ショウキは仲間たちを失った闇の中からリズという光に依存し、リズは終わらないデスゲームにショウキから人の温かさを求めた。キリトにアスナも似たようなもので、ああ確かに、見知らぬ誰かが言うように、デスゲームという極限状態だからこそ発展した関係なのだろう。吊り橋効果の最終形態とでも言うべきか、パートナーがいなければ誰も彼もが潰れてしまう故の必然か。

「でも今でも俺はリズが好きだ。始まりが嘘でも構うもんか」

 とはいえその想いは、デスゲームが終わった今でもこうして続いている。始まりがデスゲームから
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