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人理を守れ、エミヤさん!
真名開示 エミヤシロウ
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だけだった。
 他の全てのサーヴァントは、魔術王を前に敗退している。残された二騎は果敢に魔術王に挑み、遠坂凛は士郎と共に魔術王のマスターと交戦していた。

 その最終決戦は、大聖杯の前で。

 魔術王は聖杯を掌握していた。聖杯に巣食っていた悪性を排除していたのだ。そして未完成の聖杯を用い、赤い弓兵を三十柱の魔神を費やし押し潰した。そこからは消化試合そのものだ。
 騎士王は膝をつき、魔術王に敗れた。少女騎士が消滅する間際、魔術王とそのマスターは呑気に会話を交わしていた。

『――見事だキャスター。これで他の六人のマスターを全て排除した。聖杯戦争は我らの勝利に終わった。後は令呪で君を自害させれば、儀式は完成だ。この大聖杯に七騎のサーヴァントの魂が満ち、根源に至るための魔術炉心に灯が点る。それによって第三魔法はカタチになるだろう。第三魔法は魂の物質化。肉体の枷から逃れた人類は「有限」が生み出す全ての苦しみから解放され、新たなステージに向かう。君はその為の犠牲だ。了解してくれるだろう? キャスター』

 歯噛みしてそれを見る少年の士郎。騎士王は今に力尽きようとしている。男の言は時期尚早だ。まだ戦いは終わっていない。
 だが趨勢が決しているのも事実だった。もはや抗えないのだ。男の勝利への確信を、誰も覆せない。

『いや冗談だ。冗談だよキャスター。すまないな私も浮かれていたようだ。協力者であり、功労者である君を大聖杯に捧げる気はない。令呪も使わない。そもそも君には通じない。私は大聖杯を起動させない。第三魔法などどうでもいい。私は、我ら天体科を司るアニムスフィアは、独自のアプローチで根源に至らなくてはならない。他の魔術師の理論に乗るなど有り得ない。アインツベルンの提唱した奇蹟……魂の物質化、人類の成長なんて夢物語には、はじめから付き合う気はなかったのさ』

 男は語る。
 彼が求めたものは自らの人類愛が燃やす理想。その為の燃料の確保。男が願うのは、永遠の命でも根源への到達でもなく、巨万の富だったのだ。
 そしてそれに、魔術王は賛同した。理解を示した。元より召喚者の願いを叶える為に召喚に応じたらしいのだ。

『……ありがとう、キャスター。君ならそう言ってくれると信じていた。君がそう言ってくれるのなら、この結末は我々だけの秘密に出来る』
『だけど、マリスビリー。まだここには、セイバーとそのマスターがいる。彼らを打ち倒さない限り、この聖杯戦争は終わっていない』
『それだよ。私は彼らを利用する事にした』
『利用?』

     頭が、痛い

 何か、あってはならないものを、見ている。
 男は笑った。道徳心の欠片もない打算がある。
 少年は意識を掠れさせながらも、腕の中に意識のない遠坂凛を庇い、消えかけている騎士王を必死に繋ぎ
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