未遠川の穹
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を振るって剣槍の霰を薙ぎ払い、高位の宝具は口腔より熱線を吐いて辛うじて軌道を逸らす。黒竜の飛行速度は竜種を象ってあるだけに中々のものだが、輝舟に追い縋れるほどではなく。英雄王は魔術王に一方的に財宝の絨毯爆撃を敢行出来た。
ぱちんとソロモンは指を鳴らす。数にして五百にも及ぶ幾何学的な紋様の召喚陣が夜空を席巻し、其処から黄金の大楯二百、小楯三百を召喚して身を守った。これはシバの女王と出会った後、自ら造り上げた魔術礼装である。
魔術王によって魔術の刻まれた金色の楯は、真名解放の為されていない宝具ならば問題なく凌ぐ。しかしそう何度も防げるものでもなかった。英雄王の擲った剣や槍、斧などの宝具は実に二千を数える。瞬く間に破壊されていく楯は金色の破片を撒き散らすも間を開けるには充分――隙を晒した魔術王を狙った間隙に、宝具化し黒く染まったF-15戦闘機が急接近する。火箭が吐き出され輝舟を撃墜せんとした。一気に浮上し回避する輝舟だが、輝舟に追随できる機動力が戦闘機にはある。猛追した。
ソロモン――ロマニ・アーキマンはバーサーカーを見る。マシュを同乗させたバーサーカーは、息子を守るためかやや回避運動が大きく、大袈裟だ。ただでさえ燃費が悪く、マスターは機を見る目が曇っている間桐雁夜。彼のマスターは限界だろう。
マシュも立派になった。そんなに気を遣わなくてもいい。
「――仕方ない。どのみちボクらに時間はないんだ、決着を急がせてもらう」
ロマニはソロモンとしての力を行使する。特殊ではあるが、ロマニの前世とも言える魔術王はカルデアの召喚基点であるマシュと、霊基の繋がりがあった。それは同じシステムによって現界している他のカルデアのサーヴァントも同様である。故にマシュが触れているものは、ロマニも間接的に触れているという解釈が成り立つ。
例えば花の魔術師は、自分が生まれていない過去に、自身が存在しない故に死んでいるも同然という滅茶苦茶な解釈で過去に召喚される事が出来る。なら似たような真似、同じ冠位魔術師であるソロモンに出来ないはずがなく。
間接的に触れているなら、そこに流れるパスも逆算出来るのだ。
「――其処にいたんだね、間桐雁夜」
下水に身を隠している男の姿を見つける。千里眼を封じていてもはっきりと見えた。
パスを辿り、魔術を行使する。バーサーカーの制御権である令呪を奪う。
「令呪を以て湖の騎士に命じる」
ビクンと黒騎士が反応した。自身のマスターが代わった事を感じたらしい。騎士の誇りがあるなら抵抗するだろうが、彼は狂戦士。そして対魔力もないに等しかった。
他のサーヴァントには出来ない……というよりは、しない方法だ。こんな邪法、好むものでもなかった。
「――ごめん
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