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人理を守れ、エミヤさん!
軌道修正だね士郎くん!
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に利用しようというわけか。知らぬふりをしようにも、男の話が本当ならセイバーはかなりの難敵。無視できるものではない。ましてやマスターがアインツベルンであるなら尚更だ。
 この男は何者だ。着実に時臣の思考を縛っていく。ともするとアサシンを味方に置く時臣と同等、或いはそれ以上に情報を掴んでいるように感じられる。そして話運びが巧みで、魔術もなく意識を誘導されている感覚がした。

「私に要求はないのか」
「ないな。お前がそれに応じるとは限らんし、そもそも俺は魔術師という人種を一部例外を除いて信頼しない。目的のためなら平然と約定を破棄する、それが魔術師だ。故に俺が口にするのは事実のみ、それによってお前がどう動こうとも構わないさ。なんなら、英雄王をけしかけ俺にぶつけたって構わないとも」
「……なるほど。貴様のサーヴァントは、英雄王を相手にしても時間稼ぎぐらいは出来ると踏んでいる訳か。その間に、貴様が私を討つと」
「さて。どうだろうな」

 含み笑う男に虚勢はない。最強の英霊、ギルガメッシュを相手取ってもなお戦えると確信し、時臣を打ち倒せると考えている。
 工房の守りを難なく突破した手腕からして、それは自惚れではない、確固とした確信があるようだ。舐めてくれる、と時臣の頭に血が上りかける。

「さぁて。英雄王もそろそろ、のんべんだらりと帰ってくる頃合いか。退くぞ、ランサー」
「了解。しかしなんだ、なんか回りくどいな。ここで片した方がいいと思うんだがね」
「やめとけ。遠坂時臣は常識的な判断と行動をする典型的な魔術師らしい。今日日珍しいほど純粋なね。放っておいても脅威とはならんさ」
「……」

 露骨なまでの挑発を置いて、彼らは正面から堂々と去っていく。
 時臣はそれを見送るしかなく。
 苛立ちを込めて、デスクを拳で叩き割った。







「しっかしなんだ。マスターは面倒を増やす天才だな」

 面白そうに揶揄するクー・フーリンの言に、俺は忌々しげに舌打ちして応じた。

「災い転じて福と成す天才でもあるぞ」
「自分で言うのかよ」

 いやまあ、なかなか楽しませて貰ったが、と含み笑うクー・フーリン。
 俺としては予定になかったアクションを、なんとか誤差の範囲に収めた手腕を称えて欲しい気分だ。いやまあ、身から出た錆なので虚しさは拭えないが。

 全部ロ凛が悪い。

「で、こっからどうする」
「方針に変更はない。現時点で元々の第四次聖杯戦争の知識が宛にならなくなった以上、最も聖杯戦争から外れた行動をし、何をするか分からん奴から消す」
「キャスターだな」
「ああ。次点でライダーだな。だがそれのみに固執する気もない。今のアルトリアは極めて強力だ。聖剣を平然と連発出来るのは間違いないから、恐らく強力な個とは言
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