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人理を守れ、エミヤさん!
軌道修正だね士郎くん!
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との証左であり。同時に背後のサーヴァントが近接戦に秀でたクラスであると口にすることで、万が一にも隙がないと牽制する意図が含められていた。
 男は意識のない凛を抱えたまま、書斎から出ていった。その間、ランサーは背後で時臣の監視をしている。暫くして戻ってきた男は、凛を抱えてはいなかった。

「凛は適当な寝室に寝かせてきた。本当は用なんてなかったが、来てしまったからには仕方がない。話をするか、遠坂時臣」
「話だと? 脅しではなくか」

 命を握られていようと、流石に数分ほど時を置けば冷静にもなる。魔術師は死と向き合う者なのだ、死に瀕した程度で怯えたりするようでは未熟。極めて落ち着いて、時臣は応じた。
 この時点で時臣は覚悟を固めていた。娘は死んだものと考え、必要とあらば切り捨てる腹を決めたのだ。時臣の正面に回ってきた男は、デスクに腰かけて悠然と脚を組む。挑発的な面持ちで、時臣を見据えた。

「脅す気はない。無駄だからな。今ここでお前を殺すのは赤子の手を捻るほど簡単だが、それも得策じゃない以上は見逃すことにしている」
「……私を殺さない? どういうつもりだ」
「単純な話だ。お前というマスターを失った場合、英雄王の動きが読めなくなる。マスターがいなくなったとしても、現界を維持できそうな英雄王には最終局面の手前まで生きていて貰わないとな」
「……」

 英雄王の真名が看破されているだと?

 アサシンの脱落を偽装させた初戦と、倉庫街での一戦以外で、英雄王は戦っていない。その二回で真名に行き着いたのか。或いは英雄王の擲った宝具が全て本物であると察知し、そこから真名を推測して、当てずっぽうに口にしているだけなのか。
 適度に手札を切りながら揺さぶりを掛けてくる男に、時臣は顔を険しくする。
 口数は多いが、反比例して男の目はどこまでも冷たい。何を見ようとしている、と警戒心を最大限に高めた。一瞬も隙を晒すわけにはいかない。

「お前に良いことを教えてやる。信じるか信じないかは別だが、セイバーはアーサー王だ」
「なに?!」
「能力は――」

 スキル構成、所有する宝具とそのランク。加えて戦闘に際しての思考形態を、口頭で簡単に告げてくる男に時臣は驚いてしまう。
 それだけではなかった。男は懇切丁寧にセイバーの攻略法を口にし、その上まだ引き出しがあったのだ。

「そしてバーサーカーはブリテンの円卓の騎士最強、『湖の騎士』ランスロットだ。英雄王が本気を出せば攻略は簡単だろうが、慢心している状態だとそこそこ手こずるだろう」
「……なぜ私にそれを?」
「言わなくても分かってるだろうに。潰し合って欲しいから、ってのが一つと。セイバーの方は、英雄王が本気でも勝ちを狙える陣営だから教えてやろうと思ったまでだ」
「……」

 良いよう
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