青天の霹靂だね士郎くん!
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ギアを更に上げ、ランサーが馳せる。
神速。離れた場所から『見』に徹している士郎の鷹の目をして、残像が見えるか見えないかといったほど。正面のセイバーは防御を固めて尚も反応が遅れた。
受け損ない、槍の刃が二の腕を掠める。浅く血が吹き出た。眉間、喉、心臓、穿つ三連、全弾急所――悉く目で捉えられず、籠手で眉間を泥臭く守り、剣で喉を守り、魔力の大部分を回して固めた鎧の強度で耐える。
胴を強かに打たれ苦悶するセイバー。一瞬も止まらず、また一瞬も隙を与えず、攻め続けるランサーの槍。セイバーは嵐に吹かれる木枯らしの如くに打ちのめされ、全身に浅い傷を作っていった。
「そぉらそんなもんかよセイバー!」
「くぅ……!!」
まともに勝負すら成り立っていない。一方的だった。守りの間隙を巧みに突き、セイバーは瞬く間に傷を負っていく。そのまま行けば体力が尽きて無防備な心臓を晒すだろう。その時が最後だ。
セイバーはなんとかランサーの槍を阻まんと不可視の剣を振るうも、まるで聖剣の刃渡りを熟知しているかの如くに見切られ、回避と同時に反撃が飛ぶ。不用意な動きは即座に捌かれ、代償にセイバーは手痛い傷を負った。
呪槍を大きく薙ぎ払って強撃を叩き込み、腕を痺れさせるや背後に回り込んだランサーがセイバーの背中を切り裂いた。
「ぁぐッ……?!」
なんとか身を捻ってランサーを正面に置いたセイバーに、ランサーは下段より突き上げた槍で聖剣を握る手を一撃した。
危うく剣を取り落としそうになりながら、セイバーは必死に後退する。剣の握りが甘くなった、これでは下手に受けることすら出来ない!
そしてそれは決定的な隙だった。
ランサーの目がぎらりと光る。誰も知覚できぬ速度で踏み込みセイバーを蹴りつけ、敢えて更に間合いを開かせると同時に自身も後退。
高く――高く跳躍し。深紅の槍を逆手に構えた。
魔力の猛りは波濤の予兆。宝具を解放せんとしている。トドメを放たんとしているのだ。
その時。
セイバーが、剣を構える手を下ろした。
「――」
諦めた、訳がない。闘志が萎えていない。
起死回生の策がある。それはなんだ。聖剣の真名解放? なら何故剣を下げた。
「突き穿つ――」
必殺の槍を投擲せんとする、ランサー。それを睨み付けるセイバー。
瞬間、既知の感覚。
電撃的な閃きに士郎が叫んだ。
「待て! ランサー!」
「――ぬッ、」
戦闘の熱に熱中していたランサーは、しかし瞬間的に急停止しマスターの指示を忠実に守った。槍を投じず、そのまま着地し、槍に集めていた魔力を霧散させる。
呆気に取られたのは、セイバーだ。唖然とする彼女から目を逸らさず、ランサーは激するで
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