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憑依者の英雄譚
1話

[2]次話
目を開けるとそこには土下座しているきれいな女性がいた。

「あの、誰に土下座しているんですか?」
「貴方にです」
「どうして?俺は貴方に何かされた覚えはないんですが?」
「私は貴方の命の灯火を間違えて消してしまったんです…。そのせいで貴方は死んでしまったんです」

話によると彼女はあらゆる生命の命を管理している神様で、俺の命の灯火を隣にあった本来消すはずだった人物の灯火と間違えて消してしまったようだ。

「それで俺はなんでここに呼ばれたんだ?」
「貴方にはとある世界に転生してもらえます。こちらの不手際で消してしまったんですから、そうさせていただきます。ですが、もと世界には無理です」
「テンプレですね。それでなんの世界に転生させられるんですか?」
「最近貴方のいた世界で大人気のラノベ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のせかいです」
「ダンまちの世界ですか」

俺は原作をよく知らない。友達の話によると英雄を目指した一人の少年の物語だとか。

「そして貴方には特典を与えたいと思います」
「またまたテンプレですね」
「まあ、危険な世界に送り出すんです。すぐに死んでしまってはこちらも目覚めが悪いですから」

特典ね。そーだな………。

「いくつ特典はつけられるんだ?」
「二つまでですね」

二つか。ならこれでいいか。

「決めたよ。一つはエネミーの方の『目を覚ます』と『目が冴える』と『目を統合する能力』以外のカゲロウデイズに出てくる蛇の目と二つ目は直死の魔眼が欲しいな」
「二つとも目に関する特典ですか。わかりました」

すると女神様は俺の目を覆うように手をかざす。

「はい。これで使えますよ」
「なんというかあまり実感がないですね」
「まあ最初はそんなものですよ。それでは送り出しますね」

すると俺の足元に半径6、70cmくらいの大きさの魔法陣が展開された。

「今度の人生では貴方に幸があることを願います」
「はい。それと今度からきちんと確認してから灯火は消してくださいね」
「ぐっ、頑張ります」

いや、頑張りますじゃなくて…。まあ、気を付けてくれるんだから俺が気にすることじゃないか。
そのまま俺は浮遊感とともに何処かに飛ばされた。

「ふぅ。上手くいきましたね」

女神はそのまま展開中の魔法陣を消そうとすると。

「あ、これ転生じゃなくて。憑依の魔法だ」

ここでまたもや彼女は間違いを犯したようだ。
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