暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
カルデアの救世主
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話




「我ら影の群れを従えた以上は勝利も必至。ご安心召されよ、マスター」

 ――その日、カルデアは沸いた。

 薔薇の皇帝ネロのマスター勢としての加入によって『唯一』と冠されこそしなくなったが、その実績と実力から多大な信頼を寄せられるマスター、衛宮士郎の負担が軽減されたのだ。
 英霊エミヤの加入によってである。
 マスターの消耗は、少なければ少ないほど良い。同一能力者の参戦により士郎の負担は大幅に減じ、カルデアの誇るマスターが英霊に至りうる人物であったことが判明してカルデア職員の士気があがった。
 それだけではない。続く第二召喚により、士郎は凄まじい引き運を発揮。召喚サークルから発されるアサシンの霊基パターンに一瞬気落ちしかけたが、カルデアの人手(マンパワー)不足を一挙に解決してのける人材を獲得したのだ。

 ――そう。百貌のハサンである。

 その性質。その能力。その宝具。百人近くの分身を作り出し、それぞれが独立して――それも低燃費で――活動できる彼、或いは彼女は、今のカルデアが喉から手を出すほど欲する存在だったのだ。
 その事実にいち早く気づいた衛宮士郎は発狂した。急ぎロマニ・アーキマンとレオナルド・ダ・ヴィンチを呼び出し、共に発狂した三人で百貌のハサンを説得。カルデアでの業務をダ・ヴィンチを筆頭に数人の職員で数日間仕込み、ハサン約百体をカルデア運営に回すことがただちに決定された。

 カルデア救世主ハサン誕生の瞬間である。

「召喚早々悪いが、お前を戦場に連れていくことはない」
「なんですと?」

 最初、実力不足と断じられたと感じた百貌は不満を覚えたようだったが、士郎は言葉巧みに百貌を説き伏せた。

「そんな雑兵の仕事など百貌のハサンには相応しくないからな! そう、伝説の騎士王や神話最強の英雄にも真似できない、人理継続のための最前線こそが山の翁足るハサンに相応しい」
「むっ」
「百貌のハサン、その真の力を遺憾なく発揮させる事こそがマスターである俺の使命! 俺達の、人類の命運はある意味でお前達に掛かっていると言っても過言じゃない! 頼む、地獄のような戦いを潜り抜け、カルデアを救えるのはお前しかいないんだ!」
「ぬぅ……そうまで言われては否やはありませぬ。不肖ハサン・サッバーハ、カルデアの為、ひいては人理継続の大義のため、身を粉にして働くことを誓いましょう」
「(よっしゃ言質取ったぁ!)」
「……なにか?」
「いやいやいやその心意気に感動した! まこと感服仕まつる!」

 不眠不休で働けて、飲食の必要もない無敵の労働力確保に士郎は内心快哉を叫んだ。その背後でダ・ヴィンチやロマニ、カルデア職員全員が狂喜したのは言うまでもない。
 ブラック企業カルデア。かつてない熱烈歓迎ぶりに戸惑いつ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ