カルデアの救世主
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つも、喜びを隠せないハサンは知らなかった。自身が悪魔の契約書にサインしたことを。馬車馬の如く酷使される未来を。
まあ低燃費群体サーヴァントとか便利過ぎるからね、仕方ないね。
「――来てる! アーチャーに百貌、今流れが来てる! カルデアの、ひいては俺達の負担が軽減される流れが! 間違いないぞこれは! 運が俺達の味方をしてきてるんだよぉ!」
食堂でかつてないほどのハイ・テンションで祝杯を上げるのは、誰あろう衛宮士郎である。
主賓は当然百貌のハサン(一体)だ。料理人はエミヤとエミヤ。エミヤの二人。常のエミヤならどちらのエミヤの腕が立つか競う所だが、今回はどちらのエミヤも自重して純粋にエミヤの料理の腕前を披露するに留め、ネロやマシュ、アルトリアとオルタリアの両名など、主だった面子に振る舞ったのだった。
流れを感じる。そう、まるで意識不明で瀕死のアラヤが突如最後の力を振り絞り、微弱ながら抑止力を働かせてカルデアをバックアップしているような!
「……不穏だな」
「ああ、不穏だ」
アルコールがインして見事に出来上がっている士郎を横に、ぼそりと溢したのは弓兵のエミヤである。そして暗殺者のエミヤもまた、彼と同じく妙な予感を覚えていた。
歴戦のつわもの二人が同様の予感を懐くも、他に同意する者はいない。それは意外なほど酒乱の気がある士郎の仕業だった。
どこに隠し持っていたのか多種多様の酒類を持ち出した士郎により、既にネロとアタランテは轟沈。クー・フーリンやハサンも意識が混濁している有り様。お子様なマシュは寝んねの時間であり、辛うじて意識を保てているのは初期からの付き合いがあった故に退避が間に合ったアサシン・エミヤ、士郎の作り出した料理の方に意識が向いていたアーチャー・エミヤ、そしてアルトリアのみである。
オルタリアことアルトリア・オルタは、士郎のすぐ傍にいたが為にいの一番に沈んでいた。
弓兵エミヤは士郎の腕に脅威を感じていた。それは士郎も同じであったが、今度機会があれば雌雄を決するか、或いは互いにじっくり味比べをしてみたいと考えていた。
レベルは近い、ここまで来るとどちらが上かではなく、純粋に己の持つ味を比べ合い楽しむ方向にシフトするものである。
エミヤは錯乱しているとしか思えない士郎を横目に、切嗣へ言う。
「……そろそろ止めた方がいいんじゃないか?」
「いや、止めなくていい」
知っている顔ばかりの職場であるが、エミヤには特に不満はなかった。
完全究極体へ変貌したあのランサーとは是非とも距離を置かせて貰いたいもので、今の所はこれといった絡みはない。
しかしほぼ磨耗しているとはいえ、記憶に残る養父と同じサーヴァントとして人理修復に臨むことになるとは思いもしなかった。自身の養父と
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