幕間の物語「いつかどこかの時間軸」3
人理守護戦隊衛宮
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「……さて。朝一番の英気を生むためにも、まずは飯にするとしようか」
何が良いか。ここは無難に白米に味噌汁、簡単なサラダと鯖の塩焼きにしようか。
何事も人間の気力次第。何を成すにもまずはやる気になる事が大事だ。一日の活力となる朝食を抜くなんて有事の際を除いて有り得ない。「朝御飯の支度、わたしも手伝いますね!」と白衣の少女は元気よく相槌を打ってくれた。
そうだな、そうしてくれると助かると微笑み。俺はとりあえず洗面台に向かって顔を洗い意識を覚醒させた。
――鏡に映る剣の丘。光を忘れた歯車が、蒼穹のソラの中で廻っている。
目の霞んだ先に幻視する。高度な文明の結集されたカルデアの灯。清潔で、冷徹で、人の居住区画としては些か生活感の欠けた風景にも、すっかり慣れてしまった。
しかし時々、平凡な屋敷の住まいが恋しくなる時がある。その度に、生活感の大切さを思い出すのだ。
第二特異点の人理定礎を復元してよりマシュは変わった。
根っこの部分はそのままに、より活闥に、より積極的に、より能動的に振る舞う、外の世界を知ったばかりの小動物じみた印象を受ける。よい変化なのだろう。微笑ましく思う。
「フォウ!」
「――ん?」
廊下に出て、通路を辿り食堂を目指していると、不意に背後から聞き慣れた小動物の鳴き声がした。振り向くと、ふわふわとした白色の獣が飛び掛かってくるところだった。
顔にぴたりと止まって、頭の上に登り、そこからマシュの肩に飛び移った獣はもう一度フォウ! と愛らしく鳴いた。
「あ、フォウさんおはようございます。一緒に朝御飯でもどうですか?」
「フォウ! フォウ! キュ」
「……おはようフォウ。しかし、フォウは何を食べるんだ? リスと同じ木の実とかでいいんだろうか」
そんな事はないのになんだか久しぶりに見た気がする白い獣。頭の白い俺とマシュ、フォウを並べてみると微妙に絵面的にマッチしていて可笑しかった。
相好を崩しつつ、指先でフォウの顎下を撫でると気持ち良さそうに目を細める。
何を食べるか分からないので、とりあえずこの小動物の反応を見ながらぼちぼち試すかな、と思う。
少女と小動物の組み合わせはなかなかいいものだな、なんてのんびりとした事を考えつつ、俺は食堂に着くと手早く朝食の用意を始めた。
「そういえばアルトリア達の姿が見えないが、どうしたんだ? 大体これぐらいの時間帯には食堂でスタンバってるんだが」
「アルトリアさんやオルタさんは現在、カルデア・ゲートで仮想竜種と延々疑似戦闘を行っています。なんでも『逆鱗……逆鱗……』『牙落とせ……牙……』と、うわ言のように繰り返していたとか」
「……逆鱗? 意味分かるか?」
「さあ……」
朝早くから何やら励んでいる様子。邪
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