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二国の英雄
第四章
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「ですから今はです」
「あの方から離れ」
「そして時を待ちましょう」
「また独立の機が出来ます」
「復活の時は」
「人を裏切って何が出来るのだ」
 だがポニャトフスキはこう言うのだった、ナポレオンから離れることを勧める彼等に。
「一度ついていくと決めたならな」
「最後の最後までですか」
「従うべきですか」
「そう言われますか」
「そうだ、私はあの方に誓ったしまだ国はある」
 ワルシャワ公国、この国はというのだ。
「あの方に勝って頂くと国は残る、だからな」
「ここはですか」
「あの方と共に戦い」
「そしてもう一度勝利を掴み」
「公国も守りますか」
「そうする、命にかえてもな」
 こう言ってだ、ポニャトフスキはナポレオンから離れなかった。情勢は明らかで彼を見限る者達と違い。
 そしてだ、ライプチヒの戦いでもナポレオンを助け。
 最後は敗れたフランス軍の後詰となり敗走するナポレオンを最後まで守った。そうしてその中で戦死した。
 死ぬ間際にだ、彼はポーランド語で言った。
「悔いはない」
 こう言ってこと切れた、彼のその死を聞いてだった。
 コシチュシュコは遠い目になった、そのうえで祖国の方を見て言った。
「彼らしい」
「そう言われますか」
「その様に」
「立派に戦い立派に志を貫いたのだからな」
 それ故にと言うのだった。
「彼らしい、しかしこれでだ」
「ワルシャワ公国はなくなりますね」
「ボナパルト皇帝が倒れるのは必定ですし」
「この度の敗戦でそのことが決まったからには」
「そうなってしまいますね」
「そうなる、私はこうなると思っていた。しかし彼を止められず」
 そしてとだ、コシチュシュコは悲しい目になって言うのだった。
「国の戦いにも加わらなかった、私はつまらない男だ」
「いえ、誰がそう思いましょう」
「誰もがコシチュシュコ様のことはわかっています」
「あの必死に戦われた貴方のことを」
「ポーランドリトアニアの為に自ら戦場に立たれ勝たれた貴方のことを」
「だといいが。しかし故国の復活はなくなった」
 ワルシャワ公国、フランスの衛星国だったこの国がなくなる今はというのだ。
「そうなる、だからな」
「また機を待つしかないですか」
「今は」
「そうだ、そしてそれは私が生きている間ではないだろう」
 コシチュシュコは最後は俯いた、だが祖国の方を見続けていた。その想いは今も祖国の方にあった。
 コシチュシュコの名前は今もポーランドそしてリトアニアに残っている、勿論ポニャトフスキのことも。二人共二国にとって英雄とされている。
 この時ポーランドとリトアニアは国としてはなくなり二十世紀になって復活した、それまでの間も復活してからも今も二人の名前は二国に残って英雄として讃えられて
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