033話 日常編 士郎としての過去と仮契約
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あの悪魔達の事件から数日後。
生徒達が中間試験に向けて勉強している最中。
場所はエヴァの家。さらに別荘の中。
そこにエヴァ、茶々丸、チャチャゼロ、シホ、タマモが集まっていた。
ネギには今日は修行は無しだと伝えてあるのでいない。
「いよいよですねー」
「そうだな。色々あってまだ見る事は出来ないでいたがようやく見れる」
「ケケケ、楽シメレバイイナ」
「シホさん、心の準備は大丈夫ですか?」
「ええ…見せるって約束だったからね」
「では見せてもらおう。長い間封印されてきたお前のこの世界に来る前の記憶を」
エヴァの記憶を見る魔法が発動し全員はシホの過去のさらに過去にダイブした。
そして見る。
シホがまだ衛宮士郎だった頃の過去の最初のページを。
「なんだ、これは…!?」
エヴァが最初に言葉を発した。
そこは根源的な恐怖を覚えさせる光景。
赤い煉獄…そう表現するのもあんまりで救いの無い景色。
町は黒い炎に焼かれ、燃え上がる大地、一面の焼け野原、耳に響いてくる阿鼻叫喚、次々と聞こえてこなくなる人々の声、鼻につく肉の焦げる臭い、そして見上げれば黒い太陽。
「これが、シホの…いや衛宮士郎の原初の記憶だというのか?」
「なんて事でしょう…これがシホ様の始まりだったなんて…」
「ケケケ…イキナリダナオイ」
記憶は流れていき、黒い太陽は次第に消えていき雨が降り出してその中を傷だらけの赤毛の少年がおぼつかない足取りで歩いている。
「あれは…士郎君ですか、シホ様?」
《ええ、そうよタマモ。でもあれは私なのよ》
士郎は歩きを止めなかった。まだかろうじて生きていた人から助けを求められても自分にはなんにもできないと顔を背け歩き続けた。
しかしとうとう倒れてしまい、しかしまだ生きたいのか空に向けて手のひらをかざす。
でもそれも力尽きて落ちようとした時にその手を掴まれた。
手を掴んだ男性は士郎以上に憔悴した姿で、士郎を救ったはずなのにそれ以上に救われたような表情をしていた。
そこで士郎の意識は途切れて次に目を覚ましたのは病室だった。
そこには士郎以外にも生きていた子供たちが何人もいた。
しかし士郎は関心を向けようとしなかった。その顔は何もかもが抜け落ちていたからだ。
ただ生きているというだけで名前以外をすべて失ってしまったのだから。
そこに士郎を救った男性が病室に入ってきて、
『こんにちわ、君が士郎君だね?』
『おじさんは…?』
『僕は衛宮切嗣。率直に聞くけど、孤児院に預けられるのと、初めて会ったおじさんに引き取られるの、君はどっちがいいかな?』
男性の言葉に士郎は迷いを見せずに、否―――どちらでも変わらないだろうという思いで切嗣の養子になることを決めた。
■■士郎が衛宮士郎
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