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吸血鬼になったエミヤ
029話 日常編 シホとタマモの一日 IN 冬木
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「あなたのお名前は有名ですからね」
「あまり他言は控えてもらえると嬉しいです…」
「ええ。容姿が変わっていないのですからそれだけで深い事情があると読んでいます。ですからご安心を」
「ありがとうございます」
「えぇ。もしシホ様の事をばらそう物ならきっつーい呪いがあなたを待ち受けていますからねぇ〜」
「ははは、怖いですね。受けたくありませんから私の名に誓ってばらさない事を約束しましょう」

普通ならタマモの脅しの笑みで大抵のものは表情を引き攣らせるものだが時臣は笑いながら優雅に受け流していた。
それに対して二人は(できるなー)と思っていた。
時臣も時臣でそんなことをすれば私はどうなることかという計算をして導き出した解答ゆえの受け応えであった。
そして本題と行きましょうと時臣は提案し、

「それで本日はどういった事でこの地に訪れたのですかな?」
「はい。恥ずかしい事なのですが、私は九歳以前の記憶がないのです」
「ほう…記憶喪失、ですか」
「それで色々なキーワードを並べていくうちに冬木市というものが私の頭に引っかかりを覚えまして、もしかしたら思い出すかもしれないという確信にも似た感触で本日は訪れた次第です」
「そうですか。ですが代々魔法使いの者達を管理してきた遠坂の歴史を調べる限り、あなたのような人物の記録はありませんが…」
「はい。それは分かっています。ところで時臣さん。あなたは私の名前で気にかかる点とかはありませんか?」
「それは…ええ、私もそれは気になっていました。シュバイングオーグ…それは私の一族に魔法の存在を教えてくれた大師父の名の一部ですね」
「ええ。そしてその人は “この世界”では確立されていない魔法、『並行世界の運営』を使えたと言われています」
「!!…そ、それは私の一族の悲願の一つです…」
「そうですか。やはり…ではこれを見てどう思いますか?」

シホは腰のホルダーから宝石剣を取り出す。
それを見て時臣は一瞬固まるが、しかしそれでも姿勢を崩さず、

「その宝石に柄がついている不思議な剣は…まさか大師父が使用していたという…」
「…“この世界”でも、所持していましたか」
「“この世界”…!? まさかあなたは!」
「ええ、記憶は定かではありませんがこの世界の人間ではないという事だけは証明できます。さすがに見せる事は出来ませんが…」
「そうですか…。ではあなたも『並行世界の運営』を扱えるのですか?」
「一部ですがね。今はまだこの世界だけの移動だけで、後は準備が整えば並行世界の観測などを行えるくらいですね。まぁもうこの話はここまでにしておきましょう。本題に入りたいので」
「え、ええ…」
「話は元に戻りますが私は並行世界の冬木市に住んでいたかもしれないという訳なんです」
「なるほど…それなら
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