018話 修学旅行異変《弐》 西の刺客
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なってしもうたな」
「待て!」
「先輩、ウチを忘れてはいかんえ?」
「くっ! 邪魔をするな月詠!」
「そうはいかんよ〜? ウチ、もっと先輩と打ちあいたいんや〜」
「くそ! お嬢様!!」
「ほーほほほ! まったくこの娘は役に立ちますなぁ。さぁて、これからどういった事をしてあげようか……?」
くっ! 二人とも手が出せなくてアスナさんは捕まっちゃっている……! 僕も手出しができない!
もう打つ手がないと思ったその時だった。
……僕の隣を寒気がするような赤い何かが通り抜けていった。
その人は間違いなくシホさんだったんだけど、その雰囲気はいつもと完全に違いひどく冷めている。
アスナさんも、刹那さんも、カモ君も、そして敵の二人もそれによって動きを停止させられた。
まるで、そうまるで体が石になったんじゃないかという錯覚すら覚えてしまった。
◆◇―――――――――◇◆
Side 桜咲刹那
「これから、どういったことをするのかしら? この外道が……」
突然後ろからシホさんが助けに来てくれたのだが、そのあまりに濃い殺気に私……いや、その場にいたすべてのものが足を止めた。
いつもの白黒の剣を持ち、私達の横を通り過ぎる。
こんな殺気はあの停電の日以来だ。いや、あの時より格段に下回っているがとんでもない。これほどの緊張感をいまだかつて持ったことはない。
化け物と比べることがおかしな話というほどにシホさんの殺気は尋常ではなかった。
「あ、あわわ……な、なんでや!? しこたまぎょうさん式で足止めをしておいたはずや!」
「ああ、あれね? 笑わせてくれるわ。あんなちんけなもので私を足止めしたつもりでしょうが残念ね」
そういってシホさんはその手にあった式の札を握り締めてばらばらにした。
それによって敵の女も悲鳴をあげる。
あれが殺気を携えたシホさんの、赤き翼のメンバーだった本当の姿。
おそらく私ではまだたどり着けないほどの境地にいるお方。
「さて、木乃香を返させてもらうわよ…」
「ひ、ひぃぃぃぃいっ!?」
シホさんはゆっくりと女に近づいていく。月詠はなんとか動けたようでシホさんの前に立ちはだかったが、刀を上段に構え、
「うるさい…。神鳴流奥義、………雷鳴剣・双刃!」
すごい放電の音とともに時間差で振り下ろされた二刀は月詠を刀ごと遠い空へと打ち上げられそのまま痺れているのか地面に落ちても起き上がってこない。
「あ、ぐっ…」
「月詠はん!? まさかもう一人神鳴流の使い手がおったんか!?」
「黙れ…いいかげんにしないとその首、撥ねるわよ?」
「!!?」
カタカタと震えながら、呪符使いの女は背中が壁であることも忘れて立たぬ足の変わりに腕だけで後ろに下がろ
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