015話 新学期、吸血鬼異変《終》 落ち込む心
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そしてガラス越しにシホはベッドに寝かされている光景を見てまた一同は涙腺が緩む。
だがエヴァは違い怒りの感情が先に出て、
「おのれ『蝿』が…! 私の力が戻っていればこの世から完全抹消しているところを…!」
「ハエ、ですか…?」
「そう、ハエだ。七つの大罪といえば見当つくだろう」
「なっ!? では先輩を何度もその…していた悪魔は『暴食』のベルゼブブ!?」
「いや、確かにそうだがそいつはその末裔というらしい。記憶の中で真の名は名乗らなかったからな。
だが力は相当の物なのだったのだろう…それでもそいつはもし姿を現したのなら地獄も生ぬるいと思える程の苦痛を与え最後に魂を消滅させてやる」
エヴァは打算抜きにそう啖呵を切った。
それだけ腹に煮え滾るほどの怒りがあったのだろう、残忍に笑みを刻むエヴァの姿に一同は『闇の福音』の真の姿を見た。
◆◇―――――――――◇◆
しばし時間が経過しシホは目を覚ます。
そして天井を見上げ、
「またこの病室か…。かなり縁があるかも」
「確かにな…」
「あ…エヴァ。それにみんなも…」
シホが目覚めて一同は喜びの表情をするが、シホ自身の表情は優れない。
それは当然だ。自身の内に二つ目の人格…しかも残虐性に満ちている性格の固体が生まれていたのだから。
「…それで、私自身のことはどうなるか決まったの…? やっぱり本国に送る?」
淡々と聞いてくるシホに全員は声を詰まらせた。
シホ自身押さえがつかない、そしていつまた出てくるか分からない裏の人格。…最悪身内を誰かを殺してしまいかねない。それが何も知らない生徒だったらシホは不死殺しの概念の籠もったハルペーで首を切ることだろう。
そこまでシホは分かりきって結論を出し全員にそう尋ねた。
だが、エヴァから「それはない」という言葉が返ってきてシホは思わず困惑した。
「どうして!? もし、もし校内や寮…ううん、それだけじゃない。様々な場所で奴が表に出てきてしまったら最悪みんなを殺してしまうかもしれない。そして今回はどうにか抑えられたけど、次も抑え込める自身は…私には、ない…」
『………』
ギュッと掛けられているフトンを皴が出来るほど握り締めて俯きながらそう感情的に言った。
それを聞いて全員は相当追い込まれているという感じを受け取った。
元が人間だけあり感性はそのままなのにいつ吸血鬼として目覚めて殺戮をしてしまうかシホは怖くてたまらない。
だがそのシホの震える手をタマモは握り締めて、
「大丈夫ですよ、シホ様…。例の人格は表に出てこないように封印処理をされましたからもう脅える事はありません」
「えっ…封印…?」
「はい。ですからシホ様は心配することは無いのです」
「そうですよ、先輩。
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