014話 新学期、吸血鬼異変《四》 反転し覚醒する人格
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そこに存在しているのは吸血鬼として覚醒した名も無き化け物だった。
一通り笑いつくして吸血鬼は刹那達のほうに振り向く。
その目はまるで捕食者のそれで全員が身構えようとしたその時、
「ガッ!? ぐぐぐ、貴様! まだ意識が残っていたのか!? さっさと我にすべてを明け渡せ!!」
突如として苦しみだす吸血鬼の姿にタマモはまだ希望があると踏み、
「皆さん! アレが苦しんでいるうちに束縛の魔法を!」
「えっ…」
「早く!! シホ様をアレから助け出せるチャンスです!」
全員は一度頷きそれぞれ束縛の術を構築する。
当然吸血鬼は解こうと反抗するが、
「おのれぇ! 我を奥底に封印するつもりか!? があああああッ!!?」
吸血鬼の体から光が溢れてたちまち全身に光が走り、それが止んだと思った途端、体が地面に倒れる。
「シホ様!!」
すぐさまタマモが駆けつけ、遅れて全員が駆け寄る。龍宮も遅れてかけつけてきた。
そしてシホ?は目蓋を開くとその両目は普段の琥珀色に戻っていた。
「……ごめん、ね、タマモ。吸血鬼としての血と、もう一つの人格を抑えることが、出来なかった…ほんとうにごめんね…」
シホは泣いていた。
あまりにもふがいない自身に対して。そして皆に恐怖を与えてしまったことに対して。
「大丈夫です! シホ様は誰も殺していません! だから、だからもう泣かないでください…。シホ様が悲しいと私も、私も悲しいです…!」
「ごめんなさい…」
最後にそういい残しシホはそのまま意識を手放した。
それで今まで黙っていた刀子はタマモに、
「…アヤメさん。先輩は、先輩は本当にさっき言った事を、されていたのですか…?」
刀子はもちろん、その場に居合わせた全員は信じたくなかった。これが夢ならどれだけよかったことか。
だがそれはしっかりとした現実であり悲しい過去でもある。
「………はい」
長い沈黙の末、タマモは肯定の言葉だけを告げた。
途端、刀子は地面にしゃがみ込みシホを抱きしめて無言でタマモとともに泣いた。
他のものもショックのあまり涙を流していた。
…こうして吸血鬼異変はネギとエヴァの戦いは無事に終了したが、シホ達のほうは各々多大に悲しみの影響だけを残して幕を閉じるのであった。
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