014話 新学期、吸血鬼異変《四》 反転し覚醒する人格
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シホは目に映るモノを見て冷静さを無くす。
“悪魔”。
特段珍しくもないがやはり裏世界ではそれは有名な種族だ。
魔法世界では共存しているものさえいるほどだ。
だが今回はシホの目に映ってしまい、そして還す対象であるからして、最後に記憶の奥に閉じ込めておいたある出来事が脳裏を埋め尽くす。
それは…。
―――■■■の■■は■■■■■も■■■な。■■■■に■■■■だ。
「あああああああああーーーーーッ!!!」
シホからまるで苦しむような叫びがあがり、両手の爪はすべて硬質化し、片目は琥珀色からまるで血のように紅く、紅く真っ赤に染まり牙が鋭く尖る。
今のシホの思考回路はある事項を告げる。奴を殺せと!
龍宮はいち早くその凶悪な変化に気づいたが、静止する間もなくシホの姿は転移魔法をしたかのようにその場から掻き消える。
そしてタマモのラインにも耳を貸さず刹那達四人が振り向く瞬間にはすでに通り抜けていてその手を、爪を悪魔の顔面に突き刺しながら地面を陥没させる。
「■■■―――!?!?」
悪魔は声にならない叫びを上げた。シホはそれをまるで人形のように持ち上げて何度もその怪力の拳で高速の連撃を与える。
その度に悪魔は口から赤黒い血を吐き出してシホを化生に染める。
「貴様が、貴様がぁ!」
攻撃を加えながらもシホは叫ぶ。
全員はそれをただ見ていることしか出来ないでいた。
動けない、本能が動いてはいけないと指示を出しているからだ。動いたら次は自分だと言うかのように…。
ゆえに、見ることしか出来ないでいた。タマモを除いて…。
「シホ様! そいつはシホ様の仇ではありません! どうか、どうか気をしっかりお持ちください!」
なんとか近寄ろうとするがあまりの魔力の余波に近寄れないでいた。
その間にもシホは攻撃を加えながら、
「■■も! よ■■何度■■の■を■■■■■■■なぁーーーっ!!!」
『!?!?!?』
シホのかろうじて聞こえたその発言に全員は思わず戦慄した。
「死ねぇーーーーーッ!!!!」
最大級の魔力の籠もった拳を悪魔にぶち込み、そこには胸に大きな穴を開けた悪魔の姿があった。
だがまだ悪魔は生きていた。いや死なせてもらえなかった。体は煙となって消えていっているが逃がさんとばかりにシホは悪魔の首筋に牙を突きつけた。
最後に悪魔は血をすべて吸い尽くされて還る事無くその場で消滅した。
「あ、あは…あはははははははははは!!!」
そして悪魔が消滅したことを確認するとシホは普段の落ち着いた態度は一切も感じられず高々と歓喜の笑みを浮かべて高笑いを発していた。
そこにはシホ・E・シュバインオーグという人物は存在していなかった。
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