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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十 木ノ葉のスパイ
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て、新たなチームメンバーを探そうとして、真っ先に彼女が向かった先が幼馴染で何かと頼りになる奈良シカマルの許だったのだ。
しかしながら、期待を裏切って、遠回しに断りの言葉を連ねるシカマルを、ナルはじと〜っと恨みがましく見つめた。



「そ…っ、そんな捨て犬みてーな眼したってな…っ」

澄んだ青空を思わせる瞳が不安げに揺れている。上目遣いで自分の顔を覗き込んでくるナルから、シカマルは火照った顔を隠すようにサッと眼を逸らした。


頼りにしてたのに、とか、シカマルならと思ったのに、などと呟くナルを前にして、動揺する。
内心、想い人である彼女に頼りにされている事実を喜びつつも、断りの言葉をシカマルは口ごもった。


「無理なもんは、む…」
「んじゃ、俺が一緒に行ってやんよ!!」

感情を押し殺して断ろうとするシカマルの言葉を遮って、空から声が降ってきた。



ドスン!、と地鳴りと土煙が湧き上がる。さりげなくナルを背中で庇いながら、シカマルは面倒くさそうな表情を浮かべた。
シカマルの後ろから、ひょこっと顔を覗かせたナルは、大きな犬の背中に乗っている人物をぽかんと見上げた。見覚えのある顔に、驚愕の声をあげる。


「き…キバ…か!?」
「よぉ!!」

ナルを見るなり、喜色満面の笑みを浮かべた犬塚キバは、相棒の赤丸からすぐさま降りた。
ナルに駆け寄るや否や、鼻をうごめかす。くんくん、と匂いを嗅いで「やっぱ、ナルだな!この良い匂いはよ!」とニカッと犬歯を覗かせてキバは笑った。


「んえ?いや、任務を終えて里に戻ってきたばかりだから汗臭いってばよ?」

シカマルとは我愛羅を奪還する任務に就く前に会っていたものの、キバには会ってなかった。
だから久しぶりの再会に喜びつつ、匂いを嗅がれたナルはくんくんと自らも自分の匂いを嗅ぐ。
嗅覚が鋭いキバならともかく、汗の匂いしかしないな、と首を傾げるナルの匂いを、キバは再びくんくんと嗅いだ。


「いや、この匂いは間違いなく昔から俺がす」
「おい、いつまで嗅いでんだ、メンドクセー」


ナルの傍から勢いよく引き離す。いくらナルかどうか確かめる為とは言え、何度も匂いを嗅ぐキバを、シカマルはじとっと睨み据えた。


「大体、おめーは紅先生との任務があるだろーが。勝手なこと言うんじゃねぇよ、めんどくせー」
「ナルが困ってんのに、黙ってられねぇだろ!」


邪魔されたキバがシカマルを睨み返す。
同じ想い人のナルを挟んで、バチバチ火花を散らしているキバとシカマルをよそに、ナルはすっかり大きくなった赤丸に夢中だった。



「すげぇってばよ、赤丸〜!キバ乗せて走れるくらい大きくなったなぁ〜!」と赤丸のもふもふの毛を堪能するナルと、ナルの顔
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