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吸血鬼になったエミヤ
012話 新学期、吸血鬼異変《弐》 オコジョ妖精の来日
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の気の迷いだ…。気をしっかりと持ったほうがいいぞ?」
「なに言っているの? 私はいたって正常だよぉ?」



…タカミチはかなり焦っていた。
普段シホはとてもキリッとしていてタカミチにとって憧れの一人であった。
だが今彼女は目をとろんとさせてまるで酔っているかのようで笑みすら浮かべている。

「あちゃぁ〜…とうとう来ちゃいましたかぁ」

そこで横からタマモの声が聞こえてきてなにやら呟いている。
タカミチは額に汗を浮かべながらどういうことか訊ねる。

「な、なにが来たのかな。アヤメ君?」
「昨日は綺麗な満月でしたからねぇ…。シホ様もそれに当てられてしまったのでしょう。
普段は吸血衝動を我慢しているからよかったのですけど…や、月の魔力は恐ろしいですね。
きっと気心が知れているタカミチを見て我慢の糸が切れたのかなぁ、と…」
「な、なるほど…」

ダラダラと汗を流しながらそれを聞き流しているとふと一瞬の隙に目の前からシホの姿が消えていた。

「ど、どこに…!?」
「タカミチ君、うしろうしろー」
「ド○フですかっ!?「いただきまぁす」…って、やば………アッーーーッ!!」

…その後、タカミチはシホが満足するまで血を吸われたそうだ。
対して肌が艶々になってやっと正気が戻ったのかシホは何度もタカミチに頭を下げて謝っていた。




◆◇―――――――――◇◆




「はぁ…自己嫌悪だわぁ」
「しっかりしてください、シホ様〜」
「でもさぁ、よりによって最初の吸血の対象がタカミチとか…なんか恥ずかしいじゃない。タカミチにも悪いし…」

シホはそれで一層ネガティブ思考に落ちていく。
だがタマモが大声を上げながら「大丈夫ですよー、この世界の吸血鬼の吸血では死徒にはなりませんから安心です♪」といって慰めてくれる。
そういう問題じゃないんだけどねぇ…とシホが呟きながら寮まで戻ってくるとなにやら騒がしい。

「…何事?」
「さぁ…? なんでしょうか」

シホ達はなにやら立ち往生している通路で近くにいた木乃香に何事か話しかけてみると、

「あ、シホにアヤメさんや、どこにいっとんたん?」
「ちょっと野暮用で…ところで何の騒ぎ?」
「あ、そや。なんやネギ君にペットが出来たらしくて今寮長さんに許可を取りに行くところなんよ! ほな、またなー」

木乃香はそう言って管理人室まで向かっていった。
しかし、ペットね。
シホとタマモはなにやら知らない魔力反応を察知し少し背伸びして見てみるとそこには一同に交換で抱かれているオコジョ(?)がいた。

(魔法生物…?)
(どうやらそのようですね。種別としましてはオコジョ妖精かと思われます)

「あ、エミヤさんにアヤメさん。こんばんは」

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