010話 シホ復活、そして師弟関係
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さと嬉しさでなんとか「は、はい…」とだけしか答えられなかった。
それで用は済んだのかエミヤさんは刀子さんに向かい合って、
「それでは刀子さん。まだ病み上がりで腕も二流ですが神鳴流剣士、シホ・E・シュバインオーグ…参らせていただきます」
「こちらもかまいません。尊敬する先輩のご教授を受けられるのですからこれほど嬉しいことはありません。葛葉刀子、行かせていただきます」
刀子さんが一本の野太刀を構えているのに対してエミヤさんは中華刀を引き伸ばしたような黒い刀と水波模様の入った白い中華刀を構えて二人は対峙する。
私が「ごくっ…」と息を呑むほどの静けさの中、二人は真剣な表情で、だがとても穏やかな表情をしていて窓から風に運ばれて入ってきたのかまだまだ未熟な桜の葉が二人の間に落ちた途端、
ギィンッ!
瞬きすら遅すぎると思えるほどのスピードで二人の刀は打ち合っていた。
(早い!? それになんという重さっ!)
「シッ…!」
「!?」
すごい! あの刀子さんを押している。それにただ力押しだけではなく左手の中華刀ですぐさま追撃を叩き込むその素早さ。
本来神鳴流は妖怪退治のためなのでどうしても大太刀のものになりがちだからこういった二刀流での手合いは苦手な部類に入るだろう。
かくいう刀子さんも一度弾いて中華刀の対処に行ったために反撃のタイミングを逃していた。
そしてエミヤさんの動きはまた加速し小回りの聞く体を下に倒して刀子さんの横薙ぎを避けて、代わりに足蹴りをして刀子さんの体勢を崩して刀の峰で腹を突く。
繋げがうまい! 二刀流による連撃での時間差攻撃、それから自身の身長さを生かしての回避、足蹴り、最後に峰で腹を突き相手を怯ます。
…もしあの峰の攻撃が刀のほうだったらと思うとゾッとする。
それに確かに観察しているとエミヤさんの二流という意味がわかる。
エミヤさんにはおそらく剣の才能がないのだ。振るう剣はどれも無骨でこういっては何だが華がない。
だがそれは裏返せばそこまで必死に鍛錬しては実戦で腕を磨いていったのであろう、だから私にはその無骨な剣のあり方はとても綺麗なものだと感じ取れた。
そして数分して刀子さんの剣が弾かれて首筋に中華刀が翳されたところで試合は終了した。
刀子さんもエミヤさんも互いに得物を下げて一礼した。
私は、その高みの戦いに見惚れていていつのまにか正座が崩れていたのに気づき急いで元に戻す。
顔を赤くしながら気づかれていないか確認すると刀子さんがエミヤさんの事を抱きしめていた。
―――は?
私が目を話した間にいったいなにが起こったというのか。
だがそれはすぐに氷解する。
刀子さんは泣いていたのだ。
「すばらしい、手合いでした先輩。こうも一方的に手が出せないなんて
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