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人理を守れ、エミヤさん!
偽伝、無限の剣製 (中)
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は独断のそれ。そうせねばならないと直感(・・)したのだ。

 絶望的な戦局。男は5分とオルタに言った。それまでに、なんとかするのが自分だとアルトリアは自認する。座して待つだけの者ではない、この身は貴方の剣であると誓ったのだ。
 剣は、振るわれなければならない。そして、剣は楯と一体でなければならない。アルトリアは強靭な意思を込めてマシュと相対する。

「あなたの実力は高い。それは当然です。貴女と一体となっている霊基は『世界で最も偉大な騎士』のもの。その技量は我が友ランスロットにも比する。故に貴女がいれば戦力が高まるのは確かです」
「ならわたしは行きます! 先輩のお力になれないなら、わたしには何も――」

「聞きなさい!
 ギャラハッド卿(・・・・・・・)!」

「ッッッ!?」

 その王命(・・)に、マシュの体は反射的に固まった。
 ――今、アルトリアは。騎士王はなんと自分を呼んだのか。
 そんな事も意識できぬほどの衝撃。短い付き合いなのに身近に感じる人からの叱責。怒られた事への驚きは、生前(・・)では無かった事だったからこそのもの。
 マシュは思わずたじろぎ、強い光を放つアルトリアの目を凝視した。
 凄烈なる騎士王は言う。諭すように、マシュとその内の霊基のズレ――似通う性質の持ち主とはいえ、確実に他人同士である彼女/彼の方向の違いを正すために。

「思い出しなさいマシュ、ギャラハッド。あなた達の在り方を。あなたは強い、それは確かです。しかし強いだけ(・・・・)なら、何もあなたである必要はない。
 ――あなたの盾は、そうではないでしょう。強力な脅威を弾く物質ではない。あなたの楯は、その心を映し出すものなのだから」
「―――」

 声もない、とはこの事だろうか。
 黒鎧の少女は、十字架のような大盾の取っ手を無意識に握り締めた。

「マシュに教えておきます。貴女に力を与えたギャラハッドは消えていません。貴女の中に残り続けている。そして貴女を見守っている。デミ・サーヴァントとは、英霊と一体となった者。ならば消える事などないと知りなさい」
「わたしを、見守って……?」
「ええ。折角『世界で最も偉大な騎士』を宿しているのです、まず己の裡に在る者を辿りなさい。そして、己の在り方を問うのではなく、自身がどう在りたいか、どう在るべきなのかを定めるのです。それが貴女でしょう、マシュ」
「―――」

 何か、眼が開いた心地だった。
 マシュは問う。自分はどう在りたいのか。
 ――役に立ちたい。先輩のお役に。
 それは勿論ある。だが、より具体的には、どうか。
 ――わたしは。
 アルトリアは微かに微笑み、子供の成長しようと足掻く姿を眩しそうに見届けて。
 颯爽と歩く。苦しく、体が変異する痛みにも怯ま
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