偽伝、無限の剣製 (中)
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きいのか……その大きさがそのまま俺の責任である。なら俺は、マシュの想いを裏切る事だけは決してしない。
「……ばかだな。役に立つ処か、マシュは俺の生命線だ。死んでも手放さないから、そのつもりでいろ」
「……! はい!」
苦笑してそう言うと、マシュはほんのりと頬に桜を散らし、力強く楯を構えた。
微かに息を乱していたオルタが、若干目を眇めて俺を睨む。そのジト目になんとなく居たたまれなくなる。なんだ、なんでそんな目で俺を見る?
傍に寄ってくるなり、何故か無言で前髪を掻きあげ額を見せてくるオルタに、俺は難しそうに首を傾げざるをえない。いったい何が言いたいのか……察してはならない気がした。
オルタは舌打ちし、黒い聖剣に指を這わせ俺に言った。
「シロウ。決着は早い方が望ましい。私も魔力に不安が出てきました。聖剣を使わずとも、全力戦闘ともなると保って数分といった所です」
「……八割に抑えれば?」
「10分ですね」
「上等だ。5分、八割で保たせろ。その後に仕掛ける」
行くぞ、と俺は声を掛けた。
ネロが力強く頷いた。
オルタは黒鉄の甲冑を解除し、深い闇色のドレス姿となって応じる。
マシュは――アルトリアに呼び止められた。
「シロウ、マシュを借ります。すぐに返しますので、どうか構わず」
「解った。
アタランテにばかり働かせると後が怖い。往くぞ!」
改造戦闘服の上に着込んだ赤原礼装を翻し、壊死した左腕をぶらさげて。エミヤを騙る男は陽剣・干将を右手に駛走する。
前方を馳せるオルタが大敵に専念出来るように、条理を逸脱した巨木の鞭を剣弾で穿ち散らすのを主眼に置いた陣形である。
故に男の左脇を固めるのは敗残の身から再起したローマ皇帝ネロ。奇抜な深紅のドレスのまま、投影された大剣を携え、押し寄せる枝葉を優雅な剣捌きにて切り捨てる。
その太刀筋は一流の剣の英霊のそれだ。騎士王には劣るものの、彼女が神祖より賜った皇帝特権により、彼女は一級の剣術スキルを会得しているのである。
「アルトリアさん、なんでわたしを行かせてくれないんですっ! 先輩が戦っているのに、わたしだけこうしているのは耐えられません!」
左足を侵す汚泥は、アルトリアの体を徐々に樹体化させつつあった。マシュが焦っているのは、アルトリアの容態を慮ってのものでもあるだろう。彼女の中の霊基は、騎士王という王を決して無視できない。そうでなくても、マシュという少女はアルトリアの状態を看過出来る性質ではなかった。
そんな事などお見通しなのだろう。かつて、理想の王という装置に徹する余り、人の心が分からぬ者となった騎士王は、今は肩から力が抜け人の心が良く分かるようになっている。故に、マシュ
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