偽伝、無限の剣製 (中)
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何やら咎めるような、はぶてたような、面白くなさそうなマシュの顔に、俺は気づきつつも何も言わず。無くした首を再生させた名も知らぬ魔神に舌打ちし、際限なく沸き起こり、降誕する樹界の坩堝に戦法を改める必要を認めた。
魔力を廻し、全力稼働する魔術回路にカルデアの電力を変換した魔力を供給。筆舌で表現し難い異物感に眉を顰めつつ、百、二百、三百と剣群を撃ち込み俺は思考する。
ヘドロの噴流留まることなく。アルトリア、オルタ、アタランテ、俺の火力で押し込み、押し潰し、一気に打倒する事能わぬ。であれば無理に攻め続けるは愚行。いたずらに消耗するだけとなれば、手を変えなければならない。
ではどうする。速攻による成果は魔神の首を刎ねた事だ。しかし魔神は首を無くしても再生した、体内の聖杯が延命させたのか、そもそも人の形をしていても急所は人体とは異なる可能性もある。ならば心臓を潰しても無為。聖杯を奪い取る事がそのまま魔神を葬る事に繋がる。
それか、聖杯の回収は諦め、もろともに破壊するか。ここからは力攻めではなく、隙を伺い一点集中の大火力で討ち取るべき状況にシフトしたと見るのが賢明だろう。俺はネロにその旨を告げた。
「賛同しよう。ならば畳み掛ける段に移るならば余もアタランテと共に駆けようとも。生きるか死ぬか、伸るか反るか、全てを賭けるべきであろう」
アルカディアの狩人は、突如足元から障害物が現れても慌てる事なく縦横無尽に駆け回り、魔神の注意を稼いで小刻みに矢を射掛けていた。ネロはそんなアタランテ目掛け自身の剣を投擲する。
咄嗟に剣を掴み取ったアタランテは、熱くない火に照らされネロを見る。マスターはサーヴァントに告げた。暫し預ける、ここぞという時を逃すでないぞ! と。
俺は『原初の火』と同型の剣を投影しネロに渡す。そしてネロの言に応じた。
「そうだな。今更臆する理由もない。下手を打てばそれまでだが、そうしないとならないなら俺も全てを賭ける」
俺はマシュの肩に手を置いた。酷く細い女の子の華奢な肩だ。とても戦う者の体ではない。その目も、抱く意思も、戦場に似つかわしくない。
しかし、それでも彼女は戦うと決めている。その意思をねじ曲げる権利など誰にもない。俺も、何も言う資格はなかった。故に――
「乾坤一擲となる。マシュ……」
「はい。分かっています、先輩。どこまでもお供します。きっとわたしも、先輩のお役に立ってみせますから」
オルタが暴竜の如く魔力を噴射し、自身を取り囲まんとしていたヘドロの触手を一息に吹き飛ばす。しかし無尽蔵に沸く質量に、オルタすら抗うのは困難なのか、直前まで己のいた地点に槍の如くそそり立った樹木を蹴りつけ俺達の傍にまで退いてきた。
まるで見当外れな事を言うマシュの中で、俺がどれほど大
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