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カルディア侯爵の挑戦状
課題と課題
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〔母様。〕
扉を出たところで話しかける。疲れと溜めていた悲しみがどっと今押し寄せてきて心が押しつぶされるようになる。
『…2人には黙っといてくれるかしら。これはきっと重みがあるから…』
母様は振り向きざまに言う。私は、片方の手を胸に当て強く言った。
〔私も秘密を話すから!だから、話して!〕
母様は泣きそうな笑みを浮かべてそっと頷いた。
『本来、その体の持ち主である子は…コーテリアよ。でもね。3人とも私の子供だから。そこだけは変わらない。覚えておいて。』
真剣に話してくれた母様。私も真剣に返さなければならないと思った。
〔もともと1つの魂が入ってた私たちの体はもう持ちそうにないの…。3人も入ってだんだんひび割れてきている。その分、私の体で補えるものは体に移しているけど…〕
母様は、そっと私を抱きしめた。私は、涙を流していたのだ。全く自分でも気づかなかった。だんだんと溢れ出す。喋らなければならないのに…今まで溜まっていた…一人で抱え込んでいた不安が一気に外へ出た。
〔…私…だんだんボロボロになっていく自分の姿を見て…怖くて…でも、誰にも話せなくて…〕
嗚咽をこらえながら抱きついてくれる母様に話す。母様も泣いていてでも頷いてずっとそばに居てくれる。
『もういいのよ。傷なら直せるわ。だから諦めないで。』
そっとおでこを合わし目を瞑る母様。
〔ありがとう母様。〕
そう言ってわたしも目を閉じた。
〜*〜
様子がおかしかった。
誕生祭の帰り道、独り言を言うように脳内で会議が始まる。
まず、名前が彼女から教えてもらった名前と違うのだが?
それは、偽名を教えてもらったとか誕生祭に偽名を使ったとか?
どちらにしろわからないことだらけだ。そうこう悩んでいるうちに家に着いた。家で一息つく前に手紙が届いていた。最近妙にやたらと手紙が届く。あの姫さんにあってから散々な目にあう。それもまた飽きないのだからいいのだけれどもと思いつつ手紙を開ける。
(今夜城を抜け出してカルディア侯爵の家に参ります。もちろん、嫌とは言いませんよね?)
それを読んで高鳴る鼓動の音が聞こえる。自分は姫さんにあってからどうにかなってしまったのでは、そう言っても過言ではないくらい姫さんの虜になってしまったのだ。
コンコンコン
ドアのノックの音が聞こえた。出るとそこにはあった時よりも動きやすそうな服を着ている。動きやすいと言うよりも白いTシャツに水色の上着、茶色のかぼちゃズボンに黒いタイツまるで別人のような姫さんがいた。
[きたわよ。あんないしてくれるんでしょ?]
にんまりと笑った彼女には悪魔が囁きかけるような魅力がある。そのまま椅子にでもベットにでもどこにでもと言ったら容赦なくベットでくつろぎ出した。

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