002話 吸血鬼となりて
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論。
ゆえに、全員はこの最強の魔法使いである二人を含めて出現する何者かが出てくるのをただ待つだけの歯がゆい時間が過ぎていく。
そしてその時が訪れた。
魔方陣が最大限に発光し陣の中心に魔力が集束していく。
それによって各々が杖、ナイフ、刀、拳銃など多種多様な武装を構える。
後衛組みもすでに詠唱が終了し自身の最大限の魔法を放つタイミングを伺っている。
その集束した魔力は一度空に浮かび上がり光の球体を作り出してゆっくりと地面に下がってくる。
「人間サイズか…?」
「各々、捕縛魔法を常時放てるように展開!」
「来ます!」
球体は地面に降りたと同時にゆっくりと光の外壁を粒子が散るように剥がれていき少しずつ中身が見えてきた。
そして完全に光が消えてそれは現れた。
だが、おかしい事に上がったのは現れた者の声ではなく関係者の、比較的こういう現場に慣れていない女性関係者数名からの悲鳴だった。
修羅場に慣れているものも戦慄を感じていた。
そこには………15、6歳くらいの朱銀髪の女性が………様々な種類の大きさの剣に、槍に、斧に、鎌に………古今東西のあらゆる武器に………体を串刺しにされて横たわっている姿があった。
眼は薄く開かれているが琥珀色の瞳には光がなく涙の流れた後が複数あり………口からは今もなお血を流しており、体を中心に辺りに血溜まりが広がっていく………。
「こ、これは…っ!?」
「酷い…!」
「送ってきた奴は相当の異常者、ということか…ムカついてきたな!」
「早く、救護班を!!」
「は、はい…!!」
辺りが騒然とする中、一人その女性を見て立ち尽くしている男がいた。
高畑だった。
「む? どうしたかの、タカミチ君!? 君も早く行動をうつさんか!」
「………………」
だが学園長の叱咤の声をしても高畑はいまだその場で固まっている。
「ええい! どうしたタカミチ!?」
エヴァも苛立ちを感じ高畑に吼えた。
そこでやっと高畑は正気に戻ったのか全身をワナワナと震わせて、
「エミヤーーーーーーッッッ!!!」
瞬動を使い高畑はそのエミヤと呼ばれた女性を一瞬で抱きかかえた。
その目からはとめどなく涙が流れていた。
普段の落ち着いた佇まいの高畑がこうまで取り乱す姿を見てその場の…高畑以外の声が、音が掻き消えた。
エヴァですら高畑の行動に目を見開いている。
だがいち早く落ち着きを取り戻した学園長が高畑に話しかけた。
「…のう。タカミチ君。その少女は一体…?」
「学園長なら聞いたことがあるでしょう…。かつて僕達『赤き翼』のメンバーの一人だった女性。
『錬鉄魔法』という未知の魔法を世界でただ一人使えたという、二つ名は『魔弾の射手』『剣製の魔法使い』…」
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