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人理を守れ、エミヤさん!
第四節、剣の鍛ち手
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 Withstood pain to create weapons,(担い手はここに一人)

 waiting for one's arrival.(剣の丘にて鉄を鍛つ)









 戦闘王アッティラ討伐後、一日が経った。
 システムにより令呪は補充され、俺は一画、ネロは三画の令呪を保有した状態に回復した。
 ネロから俺に令呪を移せればいいのだが、生憎とそんな真似が出来るほど俺は器用ではない――というよりそんな真似が出来るほどの魔術師ではない――し、生き残ったカルデアの職員達でも繊細で複雑な、既に完成されているシステムを弄る事は出来なかった。
 故にどうしようもない。そのままで、先へ赴くしかなかった。



 ――そうして帝都ローマに辿り着いた一行が目にしたのは、文字通り天を衝くほどの巨木である。



 城壁を押し潰す、一つの都市ほどの半径を持つ幹。
 塔のように威圧的な枝葉。
 そして雲の上まで届いている天蓋の如き樹冠。
 陽は遮られ、闇に包まれた帝都の有り様は、もはや筆舌に尽くせぬ魔境のそれであった。

『――信じられない……こんなものが、有り得ていいのか』

 まるで北欧神話のユグドラシルみたいだ、とロマニは呆然として呟いた。
 言い得て妙だ、と俺は思う。ネロは絶句し、自らの都の変わり果てた姿に色をなくしていた。
 さて、どうするか。どうしたものか。
 俺はその世界樹のような樹槍の偉容に気圧されながらも、手を付けられない『圧倒的な質量』を前に思考を進めた。手も足も凍りつき、唯一自由になる頭を働かせることしか出来なかったのだ。

 ……まず聖杯を回収するためにはローマ建国の王、ロムルスを討たねばならない。そのためには帝都で待つ彼の神祖の眼前まで行かねばならないのだが……帝都はご覧の有り様だ。
 ご丁寧に入り口なんて拵えられているはずもなく、どこから帝都に入ったものか皆目見当もつかない。戦う戦わない以前に、勝負の土俵にすら上がれそうになかった。
 ……マズイ。いきなり手詰まりだ。言葉にして表現するのも馬鹿らしい圧倒的すぎる質量を前にした時、人はなにもすることが出来ず呆然と立ち竦むしかないのだと改めて思い知った。

 聖剣でユグドラシルが如き巨木を斬り倒すか? 無理だ。対城宝具のエクスカリバーでも、この巨大な樹木を斬り倒すには純粋に射程距離が足りない。精々幹の半分に届くかどうかだろう。
 つまり、完全に斬り倒すには二回、聖剣を振るう必要がある。俺の手には一画の令呪のみ。聖剣に全振りしても斬り倒すには一画足りない。明日まで待っても斬り倒すことしか出来ず、帝都の中にいる聖杯に取り込まれたロムルスを聖剣なしで倒さねばならなくなってしまう。
 では令呪
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