第一節、その体は
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しれぬ、か」
枝葉の津波は、ネロの持つ隕鉄の剣に灯った火を避け、帝都に向けてひた駆けるカルデアの面々を遮れずにいる。神祖の樹槍が、その火をロムルス――自らの担い手と誤認し、圧倒的質量で押し潰すのを避けているのだろう。
道中の魔猪、獣の戦士、キメラも一蹴されていた。破竹の勢いと言える。この勢いはえてして奇跡を呼び込む類いのものだった。
――よかろう。貴様らを、障害と認識する。
故に策を講じるのだ。
言葉に出さず、男は聖杯を使う。
干渉するのは第三特異点。第二特異点に対して、男が出来ることはもうない。元々、あれは男の担当ではなかったのだ。レフがしくじった為に、その皺寄せがこちらにまで来ている。
有能な敵より、無能な味方の方が厄介だな……。男はひとりごちながら、愚かなサーヴァントの船に召喚されるサーヴァントを弄った。
狂戦士は物の役にも立たぬ無能であると身に染みて思い知った。サーヴァント――英霊はその知性と経験を十全に発揮してこそ有能な手駒となるのだ。それをダレイオス三世の醜態と、卓越したカエサルの手腕が証明している。
故に、狂戦士は取り除く。しかし、かの大英雄に理性があれば、人理焼却に荷担するとは思えない。
「……ふむ。ならば、復讐者としての側面を強化し、在り方を歪めて召喚すればいい」
反転ではなく、歪曲。その力業を、聖杯は可能とした。
男は更に、頭を捻った。
仮に第二特異点を突破したとして。
あり得ないが、第三特異点で立ち塞がるサーヴァントを打倒できたとして。
確率はゼロに等しい。それでも、悉くこちらの策を潜り抜け、男の担当する第四特異点にまで辿り着いてきたなら……。
――衛宮、士郎。
侮れる敵では、ない。
彼はともすると第四特異点のはぐれサーヴァントを取り込み、こちらの計画を探り当て、この眼前に立つ可能性がコンマ一程度の確率で考えられた。
であれば、だ。僅かでも可能性があるならば、それに対するカウンター手段を講じなければならない。
「……計画を変更するか……?」
顎に手を遣り、思索する。
幾らか順序を前倒しにし、計画を早める……ダメだ、確実性を損なうのは危険。
ならば付属出来る要素を探り、利用するか? それも愚策。詰められた計画に、後から余計な手を加えるべきではない。
いや……だが……。
「……緻密な計画は繊細で、単純な力押しに弱い。今の計画では万が一、カルデアに露見した場合、頓挫する可能性は極めて高い……」
ぶつぶつと思考を呟く、若い頃の癖が出た。
男はそれに気づかず、続ける。
「いっそのこと、私の主導する計画の概要はそのままに、ある程度構造に遊びのある、自由に弄れる部分を残した計画を新たに練るか? ……こ
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