MR編
百五十八話 死者を守る者
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ターン!!」
「全員注意しろ!!」
瞬時に全員の意識が切り替わる、炎の収まったその場所でアヌビスの身体が闇色の瘴気を放ち、周囲の空間が異様な気配を放つ、変わっていく空気が全員に肌で危険を知らせていた。しかし如何なるパターンの攻撃にも対応しきろうと警戒していたメンバーは直後、予想外の事態を見せつけられる羽目になる。
「えっ!?」
「……!」
最前衛に居たキリトとユウキが驚きに目を見開いた、と言うのも彼らの目の前でアヌビスの身体がみるみるうちに石像へと戻っていたからだ、初めに見たざらざらとした石質の肌にあっという間に全身が覆われ、それまで風と見紛うばかりの速さで鋭い突きを撃ち込んできていた肢体が、その動きを完全に止める。まるで石化のデバフにでもかかったようなその光景に全員が戸惑いを隠せない中、キリトは不意に違和感に気付いた。部屋中に会った松明の光が小さくなっている、松明に灯る炎の色自体も明るいオレンジから薄い青へと変わり。光源が絞られた事で部屋全体が薄暗くなっていた、加えて、それまであれだけ頻繁に沸出していたMob達が、その姿を消している。リョウの方を振り向いても彼も胡散臭いものを見るように目を細めて周囲を警戒していて、何かに気が付いた様子も無い。
そうして室内にはそれまでの喧騒から打って変わり、耳が痛いほどの静寂が降りた。
数秒の後、突然の静寂と妙な緊張感に耐えかねたように、ユウキがキリトを見る。
「……どういう事?」
「分からない……けど油断するな……ッ!!!?」
「えっ!?」
それに反応出来たのは、打ち込みが死角からではなく正面からの物だったからであり、完全な死角からの物であったなら、キリトは間違いなくその一撃をまともに喰らっていただろう。そう彼が断言できるのは何より、打ち込まれ自らの剣の上で今も小さな火花を散らしている剣の機動が、仲間内でもトップクラスの反応速度とを持つキリトですらとらえきれない速さの物だったからだ。
「ちょ、ちょっと待て……!?」
「えっ、えッ!?」
剣から刃が離れると殆ど同時に、すさまじい連撃がキリトの持つ黒剣に受け止められて小さなオレンジの光を散らす。振るわれる剣戟のその全てが神速。
霞むほどの速さと、それを制御し、正確に急所を狙ってくる鋭さ、アスナの物にも匹敵するそれを、ギリギリの反応で何とかさばき切り、きわどいタイミングでとらえた一撃を強く弾き(パリィ)することで、ブレイクポイントを作って即座に離れる。
「これは……」
「な、なんで?だって……」
つい先ほどまでどこか余裕すら見せながらボスを相手取っていた前衛の二人が、殆ど同時に驚きの声を上げる、他のメンバーも、リョウですら、驚いたようにキリトたちの方を見て硬直していた。其れは当然だろう。何
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ