戦術の勝、戦略の勝
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量れる知能があるということ。過小評価はできない。否、あの切嗣を仕留めたことから考えるに、侮れる相手でないのは自明だった。
「……」
睨み合う。睨み合うことで俺は、違和感を覚えた。
敵から感じる殺意が薄い。敵意はある、しかし知性があるのに、ここで仕留めるという気概が感じられなかった。
……あの、眼。
まさか……こちらを見定めようと……?
――その直感に、鳥肌がたった。
これは意思と高い知能を持ち、そして切嗣を時間をかけずに仕留められる力を持ちながら、こちらをこの場で倒す必要はないと考えている可能性が高い。
油断しているのではない、大上段に傲慢な構えをしているのでもない。純粋に、これは威力偵察をしに来ただけだ。
つまり……こちらを確実に屠れる戦局を選べるだけの余力が……『退路』があるということ。後がない俺達とは違う、万全の戦力をいつでも投入できる確実さを持っているということだ。
俺はこの時、はじめて『敵』の大きさを――この人類史焼却の裏に潜む巨大な『影』を見た気がした。
『――こちらでアサシンの脱落を確認した。霊基復元には一日かかる。士郎くん、いったいそちらで何が起こって――って、なんだその醜悪な化け物は?!』
カルデア管制室のロマニから通信が入る。アサシンの脱落を、霊基一覧で確認できたからだろう。
俺はロマニには、必要がない限り通信を入れるなと言ってあった。例えば強力なキャスターのサーヴァントが敵側にいた場合、なんらかの干渉を受けてしまうかもしれないからだ。
『それに……この反応はレフ?! そこにレフ・ライノールがいるのか!?』
混乱したような叫びに、思わず眉を顰める。
「落ち着け。ここにレフはいない。ソイツは始末したはずだ。遺体もカルデアで確保して、頭の天辺から足の先まで解剖し解析している最中だろう」
『いやでも、これは確かにレフから検出されたものと同じ反応が……なんだ? これは……そんな!?』
信じられない! とロマニが喚いた。
『レフから検出された反応は弱すぎて分からなかったけど、これは伝説上の悪魔と同じ反応だぞ!?』
「……なに? どういう意味だ?」
『言葉通りの意味だよ! 人間ともサーヴァントとも違う、第六架空要素の反応がその柱からはする!』
――第六架空要素。それは人の願いに取り憑きその願いを歪んだ方法で成就せんとする存在。
悪魔に憑かれると、人を構成する要素に異変が起こり精神が変容。最終的には肉体も変化して異形の怪物と化すという。
言ってみれば、人間に寄生する幻想のウイルスのようなものである。
「……なるほど。ということは、レフはあの時これに変身するつもりだったのか」
レフだけでなく
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